旧ナマケモノ性格診断

知覚と判断 ― 周囲との接し方 その①

知覚と判断①

このページは『性格理解の基本』からの続きになっています。

 

MBTIにはESTJやINFPなど4文字の性格タイプ名が出てきます。

「でもいったいこの4文字の配列にはどんな法則があるのだろう・・・」

と、疑問に思いませんか?

この記事では、今までどのサイトでも触れてこなかった「この疑問」について解説します。

 

はっきり言って、内容は濃いです。

ちょっと難しいかな・・・と感じたら

次の『知覚と判断-その②』を先に読んでくださっても結構です。

 

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情報のインプットとアウトプット

 

人間は外界から情報の取り入れをしながら生活しています。

例えば・・・

冬、外を歩いていて「ああ、風が冷たい」と皮膚で感じたり・・・。

向こうから来る人を見て「なんかヤバそうな人だな」と、ピーンと来たり・・・。

 

そして、それらの情報から様々な判断をしています。

例えば・・・

(風が冷たいから)上着を着よう

(ヤバそうな人だから)近づかないようにしよう

 

人間はこれらの

「外界からの情報の取り入れ」

ということと

「様々な判断」

という2つを行いながら生きています。

 

別の表現をすると、
「情報の取り入れ」はインプット、
「様々な判断」はアウトプット
とも言えるよ

 

 

さて、ここからは心理学の話です。

 

外界から情報を取り入れる機能を

知覚機能と呼ぶことにします。

 

一方、判断をする機能はそのまま

判断機能と呼ぶことにしましょう。

 

もうお気づきかと思いますが、知覚、判断のいずれの機能についてもすでに前の記事で詳しく説明をしています。

つまり、こういうこと・・・

感覚(S)直観(N)→知覚機能

思考(T)感情(F)→判断機能

 

上の分類はこの後も出てくるので、よく覚えておいてね!

 

 

 

主機能としての性格、補助機能としての性格

 

ここからはMBTIの話になります。

 

ある人がMBTIを受けたところ、次のような結果になったとしましょう。

外向(E)-直観(N)-感情(F)

 

先頭に外向(E)とあるわけだから

全体的な印象として

「この人は外向(E)的な人なんだな」

ということはわかりますね。

 

でも、1つ疑問があります。

この外向(E)というのは、直観(N)感情(F)のどちらに関係しているのでしょうか?

 

直観(N)だけが外向(E)的なの?

感情(F)だけが外向(E)的なの?

それとも直観(N)感情(F)の両方が外向(E)的なの?

 

実を言うとMBTIの理論では、

知覚機能(感覚と直観)、判断機能(思考と感情)のいずれかが外向(E)的なら、もう一方は内向(I)的になっている

という考え方をします。

 

つまり、

外向(E)-直観(N)-感情(F)の場合、

直観(N)感情(F)のどちらかが外向(E)的で、もう一方は内向(I)的になっていると考えるわけます。

 

これはMBTI独自の考え方です
本家のユング心理学ではそうは考えません!

 

 

もう一度、さっきの例でダメ押しすると

外向(E)-直観(N)-感情(F)

この人のケースで、かりに

感情(F)外向(E)的に働いている

・・・のであるなら、もう一方の

直観(N)内向(I)的に働いている

・・・と考えます。

 

つまりMBTIでは、この人の性格を次のように解釈します。

外向感情(EF)内向直観(IN)の二重構造である

 

ただし先ほども述べたように、

外向(E)-直観(N)-感情(F)

と先頭に外向(E)がきているわけですから、この人は基本的に外向(E)的な人のようです。

だから外向感情(EF)「主」とするなら、内向直観(IN)「従」になるわけです。

 

このことをMBTIでは次のように表現します。

外向感情(EF)主機能

内向直観(IN)補助機能

 

実際にはMBTIでは

  1. 主機能
  2. 補助機能
  3. 第三機能
  4. 劣等機能

の4つの性格機能を想定しますが、ここでは上位2つだけを取り上げます。

 

ナマケモノ的に言えば、このMBTI流の考え方にはちょっと疑問があるね・・・(後述)

 

 

もう1つ、別のケースを考えてみましょう。

ある人の性格テストの結果が次のようになったとします。

内向(I)感覚(S)思考(T)

 

この人の場合、先頭が内向(I)なので、内向(I)の方が主機能外向(E)の方は補助機能だということがわかりますね。

 

したがって、もし

内向感覚(IS)主機能であれば

外向思考(ET)補助機能である

ということになります。

 

もちろん逆のケースも考えられます。

外向思考(ET)主機能であれば

内向感覚(IS)補助機能である

 

くどいようですが、これはあくまでもMBTI独自の考え方です。

 

 

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本来のユング心理学とMBTIの最大の違い

 

ここでちょっとユング心理学の話に戻りたいと思います。

 

ユング心理学では人の性格というのは

「ざっくり分けて、外向(E)型か内向(I)型のいずれかの傾向を持っている」

と考えます。

 

ここで大切なのは「ざっくり」という点です。

 

つまり、「ざっくり言って外向(E)的な人」の場合、知覚機能、判断機能のいずれも外向(E)だと考えるのが本来のユング心理学なのです。

 

これを先ほど最初にあげた例で説明しましょう。

外向(E)-直観(N)-感情(F)

 

この人の場合、本来のユング心理学では直観(N)感情(F)の両方とも外向(E)傾向になっていると考えます。

 

ところが前述のように、MBTIでは

直観(N)感情(F)はそれぞれ独立していて、片方は外向(E)、もう片方は内向(I)だ」

と考えます。

 

いったいどちらが本当だ!?

さて、皆さんはどう思いますか?

 

この問題については後で述べるとして、またMBTIの話に戻ります。

 

 

知覚(P)型か、それとも判断(J)型か

 

MBTIには、もう1つ大きな特徴があります。

それは

どの性格特性が外向(E)型なのか?

をめちゃくちゃ重要視する点です。

 

MBTIでは主機能か補助機能かに関係なく感覚(S)直観(N)思考(T)感情(F)という4つの性格特性のうち、どれが外向(E)的になっているのかをとても重要視するのです。

 

これは先ほどの例で言えば、外向感情(EF)とか外向思考(ET)のことですね。

 

これはね、外向(E)的になっている性格特性こそ周囲の目に映る「その人の印象」だ、だから大切なんだ!という思想がMBTIにあるからだよ

 

 

このことについて、先ほどの外向(E)型の人の例で説明してみたいと思います。

外向(E)-直観(N)-感情(F)

 

もし、この人の感情(F)外向(E)的に働いているのなら、直観(N)内向(I)的に働いていることになります。

そして、感情(F)というのは判断機能に属するのでしたね。

 

だから、

感情(F)という判断機能の方が外向(E)になっている

という意味で、一番後ろに判断(J)という文字を付けることにします。

 

」というのはJudge(判断する)の頭文字だよ

 

したがって、

外向(E)-直観(N)-感情(F)-判断(F)

ENF

と表記されます。

※当サイトでは『陽気な博愛主義者』と名付けています。

 

 

次に逆のパターンを考えてみましょう。

外向(E)-直観(N)-感情(F)

 

もし、直観(N)外向(E)的に働いているのなら、感情(F)内向(I)的となりますね。

そして、直観(N)知覚機能の1つでしたよね。

 

だから

直観(N)という知覚機能の方が外向(E)になっている

という意味で、一番後ろに知覚(P)という文字を付けます。

 

」というのはPerceive(知覚する)の頭文字だよ

 

したがって、

外向(E)-直観(N)-感情(F)-知覚(P)

ENF

と表記されます。

※当サイトでは学園祭の企画担当と名付けています。

 

 




本来のユング心理学とMBTI、どちらが正しい?

 

先ほど、ユング心理学とMBTIの違いについて少し述べました。

その続きを書いておきます。

 

その人の性格全体をざっくり外向(E)的か、内向(I)的かに分けるのがユング心理学。

 

一方、知覚機能と判断機能のうち、片方が外向(E)的なら他方は内向(I)的だと考えるのがMBTIでした。

 

う~ん、どちらが本当だ!?

 

そこで例として

INFP(寡黙なロマンチスト)

という性格タイプで考えてみましょう。

まずはこのINFPの構造をMBTIのルールに従って分析してみます。

 

このタイプの構造は以下の通りです。

内向(I)直観(N)感情(F)知覚(P)

 

最後に知覚(P)とついているので、

知覚機能の直観(N)の方が外向(E)的だ

という意味になります。

 

したがって

外向直観(EN)内向感情(IF)

の二重構造だとわかります。

 

なおかつ、先頭が内向(I)なので、内向感情(IF)の方が主機能だとわかりますよね。

したがって次のように整理できます。

内向感情(IF)主機能

外向直観(EN)補助機能

 

これがMBTIでの考え方です。

 

でも、ちょっと待ってください!

 

ここで自分がINFPタイプだと思う方はちょっと考えていただきたいのです。

あなたはご自分の性格について、確かに

感情(F)機能が内向的に働いているな」

という自覚はあるでしょう。

 

では、もう一方の直観(N)機能についてはどうでしょうか?

あなたの直観(N)機能は本当に外向的になっていますか?

 

 

外向直観(EN)には

ちょっとした事実から
ヒラメキが湧く

という特徴があります。

 

いくつか例をあげてみましょう。

 

・喫茶店で横の座席の女子高校生たちの会話を2~3分聞いただけで、来年、若者の間で何が大流行するかがピーンとわかる。

・見たことのない映画のワンシーンを数十秒見ただけで、このフィルムのタッチはおそらく〇〇監督作品だろう・・・とピーンとくる。

 

つまり、ちょっとした「周囲の事実」をもとに未来を予測したり、本質を把握するのが得意な人だということです。

 

「見通しがきく性格」

と言い換えることもできます。

 

だからビジネスのアイデアなども次々と思い浮かんだりします。

 

 

逆に内向直観(IN)の人の場合はどうでしょうか・・・

内向直観(IN)の場合もやはり「ちょっとしたこと」からピーンと来る人が多いです。

 

ところが内向(I)型の人って、どのタイプであれ、基本的に「周囲の事実」にはあまり興味を持たないケースが多いんですね。

 

特に内向直観(IN)型の人の場合、事実というより、「見えない世界」に興味を持つケースが多いです。

 

例をあげると「人間の心」とか、神秘体験とか、スピリチュアルなことだとか・・・

 

そもそも直観(N)という性格特性じたいが「現実離れ」しています。

さらに内向(I)型だということは、周囲との接点をつくるための外向(E)的センスも不足していることになります。

 

だから、どうしても現実離れした「不思議ちゃん」になりがちなんです。

 

再度、INFPタイプの人にお尋ねします。

あなたの直観(N)外向(E)的?

それとも内向(I)的?

 

もちろんINFPにもいろんなタイプがありますので、一概には言えません。

しかしナマケモノ的には、INFPの人が株式相場の未来を見通し、株で大儲けしている姿を想像することができません。

 

この問題はとりあえず先送りと言うことで・・・

 

 

さて、次のページでは一応MBTIに準じたかたちで判断(J)型と知覚(P)型の説明をします。

 

なお、この『ナマケモノ心理学』では『16の性格』を扱っていて、一応、MBTIのような形式をとっています。

でも、性格タイプの解釈に関しては(MBTIではなく)ユング心理学を基本とし、そこにナマケモノ自身の長年の観察と研究結果を加えたものとなっています。

したがって、いわゆるMBTIとは解釈が微妙に違うでしょう。

でも、内容的にはそこそこ当たっていると思っています。

 

この記事の後半はこちらです。

『知覚と判断 ― 周囲との接し方 その②』

 

★本来のユング心理学における判断的機能と知覚的機能という用語の意味については次の記事でわかりやすく解説しました。

「判断的か知覚的か」という心理学用語の本来の意味

 

 

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