INTJタイプは自分の能力の高さを実証するために生きているようなところがあります。
実際に有能だし、才気煥発とはまさにこのタイプのためにあるような言葉です。
しかしその反面、惜しいことに人望が薄いという弱点を抱えている人も多く見かけます。
その部分さえ克服すれば、このタイプは良い方向へ大化けする可能性があります。
INTJは完璧をめざすキレ者の改革者
INTJは内向直観(IN)型が思考(T)機能によって補強されたような性格タイプです。
まず、この性格特性についてわかりやすく説明しましょう。
じっくり考える前に正解が思い浮かぶ
内向(I)的な直観(N)機能が発達しているとは、自分の中に理想のカタチや正解のようなものがパッと出てくるということです。
つまりこのタイプの場合、考えたり詳しく調べる前に「どうすればよいのか」が頭に浮かんでしまうのです。
ただ、それだけでは他人に説明できないので、一応、理屈も考えなくてはなりません。
その際、理屈づけを完璧に行うのが思考(T)機能です。
こういうタイプって、例えば数学者や物理学者などにもいますよね。
彼らの中には理論より先に「法則」や「公式」を直観的に思いつき、その後で証明方法を考える人がいます。
それもこのタイプのような「直観先行型で後から理屈づけ」のパターンだと言えるでしょう。
INTJタイプの人が
「正しいやり方はこうだ!」
と言ったのを見て、周りの人はその頭の回転が速いことに驚きます。
「なんて賢い人だ!」
「この人、頭がいいんだな~」
と感じます。
でも、実を言うとこの人が「これが正解だ!」と言った時点では、当の本人もまだ理屈が付いていなかったりするわけです。
完璧主義者であり、改革者でもある
INTJの目にはこの世のすべてのものは「ぎりぎり合格点」か、さもなくば不合格のレベルに見えるのかも知れません。
そこで創意工夫をこらし、減点部分を完璧なレベルに改善することが自分の任務であると思っているようです。
ふだんは大人しく、礼儀正しい人でもあるのですが、ひとたび仕事となると目の色が変わります。
そして改善すべき部分をごく自然に、それこそ本能のように探してしまいます。
なぜ、こういう性格傾向になるのかというと、それはこのタイプの人には
完璧なものこそ理想である
という考えがあるからです。
それも度が過ぎると完璧主義者になるというわけだね
完璧な理想形というものは、めったに見かけるものではありません。
でも、この人の心の中には前から存在しているのです。
その理想形をこの世界でカタチあるものにしたい・・・というのがこのタイプが持っている欲求です。
もしかしたらこのタイプの人は自分自身を
未完成な世界を改革する救世主だ
と思っているのかもしれませんね。
このページのINTJの解説を読みながら
「どうも自分のタイプとは違うようだ・・・」
と感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
その場合、そもそも判定結果が間違っている可能性があります。
そういう方はぜひ次の記事に目を通してください。
性格診断というものについて、一番大切なことが書かれています。
感覚(S)機能と感情(F)機能の開発が課題となる
ここでユング心理学の考え方を使ってINTJの性格機能を図にしたものをご紹介します。
《注意》MBTIでの解釈とは異なります。
ご覧の通り、直観(N)機能と思考(T)機能は「意識」の領域にあり、十分に開発されているため本人も使い慣れていることがわかります。
ところが感覚(S)機能と感情(F)機能については「無意識」の領域にあって未開発の状態になっていると言えます。
この無意識下に眠る2つの性格機能を開発し、目覚めさせることがこのタイプの課題と言えるでしょう。
活躍の場さえあれば名参謀や天才軍師になる逸材
INTJタイプの人には未来に対する戦略的思考の得意な人が多いようです。
戦略的思考とは何か・・・。
それはまず目標を明確にし、そこに至るまでの課題とその克服法を論理的に考え出す思考法のことです。
なぜINTJタイプは戦略的思考ができるのでしょうか・・・。
それはまず、直観(N)型なので直観的に理想的なゴールのイメージが思い浮かぶこと。
そしてそのゴールに到達するための最短ルートを論理的に考えられるからです。
したがって、もしこのタイプが組織のリーダーに抜擢されれば名参謀、天才軍師として活躍できるかもしれません。
しかしそのためには組織を動かす全権を自分に任せてもらう必要があります。
現場の全員が自分の方針に従い、その通りに実行するという前提で初めて力を出せるタイプなのです。
ただ、このINTJの参謀は能力重視の考え方をするタイプなので、他人にも自分と同等の高いレベルを要求しがちです。
能力不足の部下を育てようという発想はありません。
それどころか働きの悪い部下は邪魔にさえ感じてしまう場合があるようです。
つまりこのタイプが名参謀として力を発揮するには2軍選手ではなく、1軍選手を任される必要がある、ということです。
もう1つ別の見方をするなら、INTJは他人の意見にじっくり耳を傾けるタイプではないので、参謀にはなれても経営者になるタイプではないかもしれません。
確かに優秀ではあるものの、結局は組織の中で生きる「雇われ参謀」、「雇われ軍師」の域にとどまってしまう傾向があります。
INTJの残念なところは性格的に人望が薄い点
上に述べたように、INTJは参謀としては抜群の能力を発揮するタイプです。
ただしこのタイプが立案する戦略というのは、あくまでも「付いて来られる部下」向けの戦略です。
したがって、もし付いて来られない部下がいても、彼らの戸惑いには全く無頓着だったりします。
それどころかスローテンポの人に対してはイライラすることさえあります。
またINTJタイプの人は自分の任務である戦略立案とは関係のない仕事はやりたがらない傾向があります。
これは人間関係や感情などというものにわずらわされるのが大の苦手だからです。
そんなこと関わりたくもないし、考えたくもない・・・といったところでしょうか。
INTJの性格特性にこのような偏りが生じる理由は感情(F)機能が未発達なせいです。
特に外向(E)的な感情(F)機能、すなわち「他人に対する共感力」の不足が原因だと言えます。
INTJタイプにとって他人というのは、いわば将棋の駒のようなもの。
駒の動かすのにいちいち感情を差しはさむようなことはしないということです。
こういうところから、INTJタイプの人は周囲からは「人間嫌い」、「他人に興味がない人」と見られがちです。
また場合によっては「性格が悪い」と思われて嫌われることもあります。
しかしINTJにとってそんなことはどうでもよかったりするのです。
総じていえば、INTJタイプは作戦を勝利に導く参謀、軍師としてはきわめて有能です。
しかし残念ながら人望を集めるタイプではないと言えそうです。
INTJが自分を成長させるには
前述のようにINTJタイプの強みは戦略的思考ができる点です。
ところが近年、この戦略的思考というものがしばしば役に立たないケースが散見されます。
なぜなら世の中があまりに複雑になり過ぎて、想定外の出来事が頻発する時代になってきたからです。
「専門家なのに予想をはずしたではないか」
・・・そんな非難が飛びかう時代にあって、もし自分が失敗した時でも周囲から温かいフォローをもらうには、やはり日頃からの人望というものが必要になってきます。
そこでちょっと皮肉な感じにはなりますが、今後、INTJに必要なのは
人望を獲得するための戦略的思考
ではないかと思うのです。
そのためのアドバイスをいくつかさせていただきます。
外向的な感情(F)機能を開発しよう
INTJは理屈や合理性を優先し過ぎて、人の気持ちや感情を考慮しない傾向があります。
それはすでに述べたように、このタイプの感情(F)機能が未発達なことに原因があります。
しかし人望というものはこの感情(F)機能の豊かさ、そしてそこから生まれる「他人の気持ちへの配慮や共感力」なくして生まれるものではありません。
この性格特性を開発するには、まず次の3点を実行してみるといいでしょう。
●笑顔を作る
(最初は「ぎこちない作り笑顔」でもOK)
●わかりやすく教えてあげる
(教える時、一番大切なのは忍耐力です)
●相手をほめる
(「できて当然」という考え方はNGです)
直観力の先走りを少し抑えよう
INTJタイプの人は自分の直観で出した答えに絶対的な自信を持っています。
しかしたとえそれが正しくても、周りの人は気持ち的に割り切れないという場合もあります。
何が何でも自分の考えを通そうとするなら、いずれ周囲の人は離れて行ってしまうでしょう。
そうすれば自分が活躍する場そのものが消失してしまいます。
そういう事態を防ぐためにも自分の考えや理想は少し横に置き、周囲の意見に耳を傾けるようにしましょう。
感覚(S)機能を開発しよう
INTJタイプの人は自分の理想を実現するには多少の犠牲は仕方ない、と考えがちです。
特に問題となりがちなのが「コスト感覚の欠如」です。
また理想が高すぎるあまり、時には実現不可能なところに目標を定めてしまう場合があります。
これらはいずれも感覚(S)機能が未発達なことが原因です。
その機能を開発するには、今まで見向きもしなかったコスト計算や書類仕事などにも積極的に関わっていくのが一番でしょう。
INTJが仕事の幅を広げるには
「16の性格」に関する書籍やサイトを見ると、INTJタイプの適職がいろいろラインナップされています。
しかしその通りに仕事を選んだとしても、必ずしもうまく行くものではありません。
たとえばINTJは「改善、独創性を要求される仕事は向いているが、保守・管理などの仕事は不向きだ」と書かれていることが多いと思います。
確かに苦手分野は徹底的に避け、得意分野だけをやるという考え方は合理的です。
でも、それだとバランスの悪い人間になってしまいます。
時代の風向きがどう変わっても倒れることのない自分を作るには、弱点となる性格特性を開発することが重要なポイントとなります。
そしてバランスのとれた人間になれば、早い話、このタイプならどんな職種についても大丈夫です。
INTJは珍しいタイプで、特に女性のINTJはめったにいない、という説があります。
これは本当でしょうか?
その真実について考えるとともに、生きづらさを感じるINTJ女性の生き方について深掘りしたのが次の記事です。
INTJ男性の方にも参考になると思います。
INTJの性格診断をまとめると・・・
INTJタイプは実に頭のキレる改革者です。
うまく行けば天才軍師になれる逸材ですが、そのためには自身の生き方にも改革の余地がありそうですね。
最後にそのポイントをまとめてみましょう。
●理想主義者も度が過ぎると窮屈な完璧主義者になってしまうので注意しよう。
●「できない人」の気持ちをもっと理解してあげよう。
●他人の意見にも耳を傾け、それを戦略の中に取り入れよう。
●笑顔を大切にし、困っている人には親切に教え、そして人をほめること。
●コストなど現実的な視点も大切にしよう。