様々な科学法則を発見し、文明の進歩に最も貢献してきたのはINTPタイプの人たちだったかも知れません。
ところがその一方で、一般的なINTPタイプの人たちは全性格タイプの中で最も深い悩みを抱えて生きていそうです。
このタイプの人たちがその悩みから解放されるには、まず自分の性格特性をよく理解することです。
それができれば、その時点で悩みの半分は消えたも同然です。
INTPは物事に意味や論理性を見出そうとする
INTPは内向思考(IT)型に直観(N)機能が味付けされたような性格タイプです。
このタイプの人は
「あらゆる物事には必ず意味や理由がある」
と考え、それを徹底的に突きつめて考えずにはいられない性格をしています。
そして物事の奥底にある真理や本質を見きわめようとします。
たとえばここに1人の理論物理学者がいて、リンゴが木から落ちるのを見て次のように思ったとします。
「なぜリンゴは木から落ちるのだろう?
きっと何か理由があるはずだ・・・」
こういうふうに思索を進めるタイプはINTPである可能性が高いでしょう。
周囲の人から見ると
「何、くだらんことを考えているんだ?さっさとメシを喰えよ」
と言われそうですが、本人はいたってマジメ。
どんなことであれ「テキトーに考えて次にゆく」ということができない人たちなのです。
もし法律を仕事に選んだなら、売れっ子弁護士となってアクティブに活躍するイメージはありません。
そのかわり大学のカビ臭い研究室で
「基本的人権の尊重とは・・・」
といった憲法の基本精神を延々と考え続けているような人がちょうどこのタイプです。
INTP的思考には他にも際立った特徴があります。
それは
とことん論理思考だ!
ということです。
このタイプの人の思考の中には気分や感情論が入り込む余地がありません。
すべてを論理的に、しかも深く深く掘り下げながら考えていきます。
また、何事にも
一貫性を重視する
のがこのタイプの特徴です。
なぜなら論理さえ正しければ、時や場所を選ばず常に一貫性が保たれるはずだからです。
このタイプの人と話す時、もし理屈に合わないことを言ったり、あるいは前回と違うことを言ったりすると次のようなチェックが必ず入るでしょう。
「その考え方は理屈が通っていない!」
「先日、言っていたことと違うじゃないか!」
「意見をコロコロと変えられたら困る・・・」
ところで他のタイプの人にとっては、頭を休めずに考え続けるというのは結構シンドイことだと思います。
ところがINTPに限って言えば、ボーッとして何も考えずにいる方がツラいのです。
だから「余計なことを考えるな」とか、「考え過ぎだよ」と言われると自分を否定されたような気がして、逆に嫌な気分になります。
そして当然のことながら1人で誰にも邪魔されずに考えるのが好きです。
したがってブレインストーミングや会議は大嫌いです。
また、自分が考えていることを途中で他人に話したりはしません。
なぜなら途中でケチを付けられたりするのが死ぬほど嫌だからです。
ついでに言うなら、このタイプは意味のない世間話や社交辞令も苦手な傾向があります。
また、意味のない愛想笑いをしたり、意味のないお世辞を言ったりすることもありません。
そういう意味ではちょっと社交性に欠けると見なされる場合もあります。
ただ、後でも述べますが、INTPタイプの人は純粋なあまり自分に素直なだけで、他人をハメようとするような悪知恵の働く人はあまりいなさそうです。
さて、そんなINTPタイプの人にとっては自分の思考力や探究心を誰にも邪魔されずに発揮できる環境に出会えるかどうかが人生を左右する重要なポイントとなるでしょう。
このページのINTPの解説を読みながら
「どうも自分のタイプとは違うようだ・・・」
と感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
その場合、そもそも判定結果が間違っている可能性があります。
そういう方はぜひ次の記事に目を通してください。
性格診断というものについて、一番大切なことが書かれています。
感情(F)機能と感覚(S)機能の開発が課題となる
ここでユング心理学の考え方を使ってINTPの性格機能を図にしたものをご紹介します。
《注意》MBTIでの解釈とは異なります。
ご覧の通り、思考(T)機能と直観(N)機能は「意識」の領域にあり、十分に開発されているため本人も使い慣れていることがわかります。
ところが感情(F)機能と感覚(S)機能については「無意識」の領域にあって未開発の状態になっていると言えます。
この無意識下に眠る2つの性格機能を開発し、目覚めさせることがこのタイプの課題と言えるでしょう。
直観的なヒラメキを得て、やっと行動に移す
INTPタイプの思考グセにはちょっとした特徴があります。
それは最初に述べたように、内向思考(IT)に直観(N)機能が味付けされているという部分です。
これは多くの場合、
「考えに考えた末に、突然ヒラメキが起こる」
というカタチで現れます。
基本的にINTPは頭で納得しなければ絶対に動こうとはしません。
このタイプの人の場合「とりあえずやってみる」は絶対にないのです。
では、納得できたらすぐに動くかというと、必ずしもそうではありません。
「もっと良いアイデアがあるのではないか・・・」
と思い、また考え始めたりします。
そうやっていつまでたっても思考の沼の中に沈み込んでいるのです。
ところがそのような時に突然、直観(N)機能のスイッチが入ります。
その時のヒラメキによって、やっと長い思考にいったんピリオドを打ち、行動に移るという流れになります。
つまり
「考えに考えた末に行動する」
というより、
「ずいぶん考えたんだけれど、最終的にはヒラメキで動く」
というタイプなのです。
でも考えてみると、学者や研究者、発明家などは大概こうした思考パターンを持っているように思います。
発明王エジソンが言った
「99%の努力と1%のひらめき」
とはまさにこのことかもしれません。
エジソンは最終的なヒラメキの大切さを言ったんだよ
INTPは俗世間や物質面に無頓着な性格
INTPの内向思考(IN)というものについてもう少し見ていきましょう。
内向(I)型で、なおかつ思考(T)型ということは、心の中で考えていることを外に出さないということでもあります。
そのため、せっかく深く思考したとしても、それを社会生活に活かそうという発想がこのタイプの場合はありません。
ゆえに例えばお金儲けの方法を考えるというのはINTPの守備範囲外のこととなります。
そもそもINTPはお金だけでなく、権力や地位、出世といった俗世間のことには興味がありません。
このタイプが関心を持っているのは「真理」や「正義」などといった抽象概念ばかりです。
そういう意味では「純粋な心」を持った人と言えます。
また、ちょっとばかり変人っぽい人もいますが、少なくとも私利私欲に走る人はあまりいない、というのもこのタイプの特徴かも知れません。
さて、権力やお金に興味がないのは結構なことですが、ただ物質世界に興味がなさ過ぎるのも困りものです。
なぜならこのタイプ、世の中の最新事情に無関心なことが多いからです。
例えば新製品が出たことも知らなかったり、ちょっと時代遅れの服を(そうとは気づかず)平気で着ていたり・・・。
そもそも衣食住などテキトーでよい、と考えているフシがあるのです。
そのため、自分の部屋が散らかり放題でもまったく気にしない人もいます。
また、先ほど述べたように「お金に関心がない」という性格傾向が結果的には仕事に関する悩みを生み出してしまいます。
実際、INTPにとって人生最大の悩みは
「自分の適職がわからない」
といった仕事関係の問題です。
また、自分の性格に合った職場になかなか出会えず悩む人もたくさんいます。
それもそのはず・・・。
仕事を探す時、その仕事の「意味」や「理念」ばかりを考え、稼げるかどうか、自分の性格や能力に向いているかどうかまでは考えないことが多いからです。
その結果、仕事選びに失敗して離職し、また次の仕事を探す・・・。
そうして常にお金に困っている・・・。
このタイプはこうした繰り返しに陥りやすい傾向があります。
このタイプの場合、仕事を探すなら
「まず収入を考える」
という現実的視点を持つことが大切です。
そして自分の「理念」や「哲学」と、稼ぐ行為としての「職業」とを分けて考えるべきです。
そうした視点を持って仕事を選ぶだけで、このタイプの人が感じる「生きづらさ」の大部分は解決するでしょう。
INTPタイプの中には直観(N)機能が強すぎるために浮世離れしている人もいます。
そういう人が現実適応力を回復するためのヒントを次の記事にまとめてみました。
他人に興味がないため人間関係や恋愛は苦手
ここまで述べてきたように、INTPタイプの人は(悪気はないけれども)外界に無関心なところがあります。
これは物質的なことばかりでなく、人間関係についても言えます。
つまり「他人にあまり興味がない」のです。
この「他人に興味がない」とは、決して利己的という意味ではありません。
そうではなく、ただ単に
「他人の気持ちや感情は思考の対象にはならない」
ということです。
おそらくこれは人間の感情というものには一貫性がなく、論理性もないため、INTPの趣味に合わないことが原因ではないか、と思われます。
また「場の空気」といったものにもあまり関心がありません。
「ちょっと場をなごませる一言」など、まず口にしないタイプだと言えます。
INTPの人は他人の気持ちを理解するのが苦手なタイプですが、同時に自分の心のうちを人に伝えよう、理解してもらおうとも思いません。
これは自分の思考が深過ぎるため、どうせ人に言ったって理解してもらえない・・・と思っているからです。
こうした性格傾向からも想像できるように、恋愛にも距離を置いている人が比較的多いタイプだと言えそうです。
もしパートナーを見つけるとするなら、自分の性格について理解を示してくれる相手を選ぶ必要があります。
もともと「真実に対して純粋な人」なので、そういった人間性の部分を重視する人にはきっと受け入れられるはずです。
ただ、INTP本人も自分の心の中をさりげなく伝える話術を研究してみてはいかがでしょうか?
慣れないうちは「ぎこちない」と思いますが、その「ぎこちなさ」も臆せず繰り返していけば、やがて「板に付いてくる」と思います。
INTPの性格診断をまとめると・・・
INTPタイプの人は自分の思考の中に深く入りすぎて、外の世界を忘れがちです。
その結果、次のような性格傾向が現れやすいと言えます。
●すべての物事には意味や理由がある考える。
●あらゆる物事の本質を論理的に解き明かそうとする
●何事にも一貫性を重視する
●やや社交性に欠ける
●とことん考えるが、最終的にはヒラメキで動き出す
●お金や権力、出世などには興味がない
●人間関係や恋愛が苦手になりがち
ただ、独特の探究心や思考力を発揮できる環境が見つかれば、「歴史に名を残す」とまではいかないまでも、充実した人生が築けるでしょう。
そのためには現実主義的な考え方を身につけていくことが必要です。