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INTP「一人で考えにふける学者」の性格診断
からの続きになっています
INTPの人は男女ともに悩みが深い・・・
と言われています。
そして社会学的に言えば、おそらく同じINTPでも、男性より女性の方が悩みは大きくなるはずです。
そこでこのページではINTP女性の生き方に焦点を当てて考えてみます。
ただしINTP男性にも案外役立つかも知れません。
本質的には内向直観(IN)型の性格
まず、INTPという性格タイプの本質について考えてみましょう。
MBTIのテキストにはINTPについて次のように書かれています。
主要機能→内向思考(IT)
補助機能→外向直観(EN)
ネット上では16Personalitiesという呼び名で知られる MBTIですが、これはもともとユング心理学から派生した性格検査法です。
(ただしユングその人とはまったく無関係です)
でも、オリジナルであるユング心理学の理論から考えると、INTPタイプの主要機能は内向直観(IN)になるはずです。
そして補助機能として思考(T)機能が少々活躍しているパターンではないかと思います。
ユング心理学の『タイプ論』をもとに考えるなら、
INTPの主要機能は内向直観(IN)。
思考(T)<直観(N)
でなければ理屈にあわないんだよ
こうした前提を踏まえ、内向直観(IN)型としてのINTP女性の悩みの正体を探っていきましょう。
ユングによれば適職は予言者か芸術家らしい
ユングは『タイプ論』の中で、内向直観(IN)型についておよそ次のようなことを書いています。
もし正常であれば、このタイプの人は夢想家か芸術家になるだろうし、そうでない場合は神秘的な夢想家か予言者になるだろう・・・
昔、私ナマケモノは『タイプ論』のこの部分を読んだ時、たいへん大きなショックを受けてしまいました。
なぜなら自分自身が内向直観(IN)型の人間だからです。
ユングは内向直観(IN)型について、さらに次のようなことまで書いています。
このタイプは身近な人にさえまったく謎めいた人物だ。
もし芸術家になったら浮世離れした作品を創るだろう。
芸術家にならなかった場合は「埋もれた天才」か「ぶらぶらしている大人物」、あるいは「馬鹿と天才の紙一重」のような人物であることが多い。
ただし、これは
「もし純度100%の内向直観(IN)型を試験管の中で培養したら・・・」
という話のようです。
普通、そこまで人間の性格が偏ることはないので、さすがにこんな極端な人はめったにいません。
ただ、次のようなことは言えると思います。
INTPのように内向直観(IN)の強い人間は自分自身を客観的に見ることができていません。
でも、周囲の人の目には、あなたはそうとう「風変わりな人間」に見えている可能性がある・・・ということです。
さて、こういう認識を持った上で、やっと自分の課題が見えてくると思います。
ネット上の相性診断にダマされてはいけない
ネット上に散らばる記事を見てみると、INTP女性の中には
「自分はモテない」
と感じている人が多いようです。
そこでよく
「INTP女性と相性のよいタイプは?」
・・・なんてことが検索されるわけですね。
そうすると決まって出てくるのがESFP。
しかしハッキリ言えば、これはデタラメです。
そもそもMBTIでは恋愛の相性も結婚の相性も取り扱いません。
そしてこのINTP女性に合うのがESFPだという説にも根拠はありません。
それに心理学的にも疑問に感じます。
一応、この説を唱える人が言うにはINTPとは(Pという点以外は)すべて正反対の性格だから「相性が合う」そうです。
しかしそういう説を唱える人は
内向と外向との「埋めがたい溝」
について理解できていないのだと思います。
たとえば仕事などで疲労困憊して帰宅し、1人っきりになって休みたいINTPのあなたにESFPの彼が
エネルギーを充電するためにパーティーに行こうよ!
と誘ってきたらどう感じますか?
そんなことが一生続くと思うと、気が滅入るはずです。
究極のところ、少なくとも内向(I)型に限って言えば、できる限り自分に似ている人物の方が恋愛や結婚の相性は合っていそうです。
(これはごく普通の心理学的な話です)
そして、その「似ている人物」が偶然INTP男性なら、それはかなり素晴らしい組み合わせになるかも知れません。
なぜならお互いのことが理解できるからです。
ところがここにも問題が生じます。
INTP女性のあなたは
INTP男性を発見できるか?
という問題です。
これはネットなどによく書かれているように、
INTPの人口は少ない!?
ということが理由ではありません。
というか、そもそもINTPの人口が特別に少ないという理論的根拠はありません。
ところがINTPの人間を見つけにくいことは確かなのです。
かりに目の前にINTPがいたとしても、その人がINTPだとは気づきにくいはずです。
それには理由があります。
実はINTPに限らず、真に内向(I)型の人というのは見分けづらいものです。
一見、外向(E)型に見えても実は内向(I)型の場合がよくあります。
これは多くの内向(I)型が自分を外向(E)型のように見せかけようとする習慣があるからです。
なおさらINTPのように何となく「自分は部外者だ」と感じている人たちは外向(E)型への憧れとともに劣等感も強い。
だからその分、よけいに自分を外向(E)型に見せたがるのです。
だから見つけにくい・・・。
これはINTP女性であるあなた自身が職場や友だちの前で本当の自分を半分も出していないことを思い出してみれば納得いくでしょう。
だからINTPも他のタイプと同じくらい存在するはずなのに、それを見つけるのは難しい、ということです。
また、それらしい人物を発見したとしても、あなたは果たしてそのINTP男性を「恋愛対象」として認識するでしょうか?
実はそれが一番の問題だったりします。
もちろんINTP男性にこだわらなくてもいいでしょう。
でも、内向(I)型どうし、似たものどうしが一緒になれればそれが最高かも知れません。
お互い「放し飼い」主義だし、背伸びする必要もないので心理的にもずいぶんラクになるはずです。
INTP女性が困惑している現実社会って・・・
次はINTP女性の仕事について考えてみましょう。
ユングが極端な例としてあげた芸術家とか夢想家、予言者などという職業(?)ではさすがに生きていくのは無理です。
では、どうすればよいのか。
そもそも「お金」というのは物事の客観的価値を計るためのものです。
ところが「客観性」にうといINTPは当然のことながら「お金」を稼ぐという経済活動も苦手です。
そしてそれが職業上の苦痛につながるわけですね。
ただ、同じINTPでも男性であれば大昔から
「大人になったら働きに出るのは当たりまえ」
という認識が一般的でした。
そうやって大昔から職業を通じて社会との接点を作ってきたわけです。
だからそれなりに「社会で働く」ことには慣れていると言えるでしょう。
ところが女性の場合は違います。
つい30~40年ほど前までは女性の多くは20代半ばで結婚し、専業主婦になる人が多かったのです。
大昔からINTP女性はたくさんいたでしょうけど、仕事で悩むというシチュエーションはほとんどなかったでしょうね。
ところが最近になって事情が変わり、女性も大人になったら普通に「現実世界」に放り出されるようになりました。
そうした時代風潮の中で一番悩むことになったのがINTP女性だと思います。
ところでこの「現実世界」というのはいったい何なのでしょうか。
その正体をもっとはっきりと解き明かせば今以上には対策が思い浮かぶはずなのですが・・・。
遠慮なく内向(I)型の世界で生きていこう
そもそもこの社会は外向(E)型の人の価値観を規準にして作られています。
つまり外向(E)型の人に都合のよいシステムになっているということです。
だからもうちょっとシツコク言えば、普段、私たちが「現実社会」と呼んでいるこの世界は外向(E)型が自分たちに都合のいいように作った世界だということになります。
だから外向(E)型の人は大手を振って外を歩く。
一方、内向(I)型の人はちょっと引け目を感じながら生きている。
しかも外向(E)型の人たちは
自分たちは多数派だ
と思って生きています。
逆に内向(I)型の人たちは
自分は少数派だ
と思って生きています。
でも、考えてみると、これは単なる錯覚です。
実は外向(E)型と内向(I)型はこの世の中に半々います。
だから外向(E)型が外向(E)型らしく生きるように、内向(I)型もまた内向(I)型らしく生きればいいだけの話。
それなのに一部の内向(I)型は外向(E)型のフリをして生きようとします。
しかしそこには相当な無理があるため、結局は外向(E)型になりきれず、挫折します。
そして世間ではそういう人は社会不適合者と呼ぶようです。
そればかりか、外向(E)型になりきれなかった内向(I)型本人まで自分のことを社会不適合者だと感じるようです。
もちろん、これは大きな間違いです。
もしかしたらINTP女性のあなたも
社会に適合しなくちゃ!
と思っているかも知れませんね。
でも、あなたが「適合しなくちゃ」と思い込んでいる「現実社会」とやらは、実はこの世の半分の人たちだけが大手を振って歩いている世界に過ぎません。
何もそんなところに無理してまで仲間入りしなくても、自分が所属するもう一方の世界、つまり内向(I)型の世界で生きていく決心をすれば十分ではないでしょうか。
先ほど恋愛のところで
「できる限り自分に似ている相手」
と恋愛した方がいい
と書いたのも同じ理由です。
この考え方は恋愛だけでなく、仕事でも同じです。
外向(E)型の人に喜んでもらえるような仕事や職種ばかりを探していては、自分が活躍できる場所は見つかりません。
また、外向(E)型の上司が喜んでくれるように働いていてもツラいだけです。
思い切って考え方を変え、内向(I)型の人が喜んでくれることをやってみてはどうでしょうか。
外向(E)型と内向(I)型は人口が半々なので、チャンスは減りません。
それどころか外向(E)型相手のビジネスはすでにライバルが一杯います。
逆に内向(I)型相手のビジネスはガラーンとしていて、人もまばらです。
したがって、こちらの世界の方がむしろチャンスは大きいのです。
ちなみにこの『ナマケモノ心理学』のサイトを見に来る人の大多数は内向(I)型の人たちです。
同じく内向(I)型の私にとって、すごく運営しやすいサイトになっています。