ESTJは管理社会、あるいは競争社会においては「勝ち組」のような性格タイプです。
それだけに他のタイプの人たちへの影響力もハンパなく大きい・・・。
この記事はESTJの人自身にも読んでいただきたいのですが、それ以上に、ESTJ以外の方に読んでいただき、ESTJと付き合う際の参考にしていただきたい、というのがホンネです。
やたらと主導権を握りたがる現実主義者
ESTJは外向思考(ET)型を感覚(S)機能が強力にサポートしている性格タイプです。
外向思考(ET)型とは
現実をありのままに受け入れ
合理的に対処していこうとする性格
のことです。
基本的に思考(T)型というのは感情や気分に流されたり、その場の思いつきで何かを始めたりはしません。
また、単なる好き嫌いで物事を決断することもありません。
「あらゆるモノ・コトには合理的・論理的な理由や意味が必要だ」
と考えています。
そして、その合理性・論理性を世の中や社会という外的世界にも求める生き方をするのが外向思考(ET)という性格タイプです。
したがって社会の不条理、あいまいさには拒否反応を示す一方、法整備の行き届いた(ちょっと窮屈な)管理社会にはむしろ好感を抱く傾向があります。
そういえば警察官にも多いような・・・
さて、上述の外向思考(ET)に感覚(S)機能が加わるとどんな性格タイプになるでしょうか。
実はこれら2つはいずれも現実主義傾向の強い特徴を持っています。
その2つが合体するわけですから、まさに
筋金入りの現実主義者
ということになります。
「ココロ」なんていう「あやふや」なものはゴミ箱に捨て、現実的なモノ・コト、あるいは信用のおけるデータを重視します。
そして、そのデータから物事のなりゆきを論理的に先読みしようとします。
また、ESTJには外向思考(ET)とともに判断(J)という要素が入っていますね。
したがってこのタイプには、
自分の判断で世の中を合理的に動かしたい!
という考えの人が多いような気がします。
これをもっとわかりやすく言えば
主導権を握りたがる性格
ということです。
実際、このタイプは仕事でも恋愛でも、あるいは夫婦生活でも、とにかく主導権を握りたがる傾向があります。
自分で方針を決め、ルールを決め、それを人にも押し付けようとするのです。
その反対に人の意見には耳を貸そうとしないのがこの性格タイプの特徴です。
このページのESTJの解説を読みながら
「どうも自分のタイプとは違うようだ・・・」
と感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
その場合、そもそも判定結果が間違っている可能性があります。
そういう方はぜひ次の記事に目を通してください。
性格診断というものについて、一番大切なことが書かれています。
管理された組織では水を得た魚となる
ここからはESTJの性格特性をもう少し詳しく見ていきましょう
上に述べたように、ESTJはとにかく主導権を握りたがります。
しかしそのためには「命令系統」がはっきりしている必要があります。
したがってESTJは命令系統がうまく働くための「組織」を作り、それを「管理」しようとします。
その一方で組織を乱す人間は許すことができません。
「個人は組織という歯車の中の一員であるべきだ」と考えています。
そして、その歯車が秩序正しく回り続けるためには、個人の多少の犠牲は仕方ない・・・と思っているようです。
ところでESTJはたとえ主導権を握ったとしても、理想的な到達点やゴールに人々を教え導こうとするタイプではありません。
「ESTJ型の主導」とは、あくまでも現状を存続・維持(できれば拡大)するための「主導」です。
だからESTJは別に救世主型のリーダーとなって世直しをするわけではありません。
どちらか言えば管理型リーダー、いや、リーダーというよりむしろ「管理者」タイプと言えるでしょう。
管理するのも、管理されるのも好き・・・。
こういうタイプは往々にして権威主義の傾向があります。
実際、ESTJは権力志向であり、権威に弱い。
そのくせ、自分が権力を持つと、その権力を振るいたがるところがあります。
ESTJにとって優れた上司というのは、部下に適切に命令を下せる上司のことです。
「部下の気持ちを理解してあげる・・・」なんて姿勢は上司には必要ないと考えているようです。
管理された社会、安定している社会においては、こうしたESTJに真っ向から対抗できるタイプは他にはないでしょう。
そういう意味ではESTJはまさに「管理社会の申し子」とも言えます。
しかし、管理社会でこそ水を得た魚になれるESTJも、動乱の時代になると苦労することが多いようです。
したがって時代の転換期に活躍するタイプというより、安定期に芽を出すタイプだと言えます。
就職する場合も創業間もない企業より、歴史も長く安定した大企業の方が向いているかも知れません。
また、倒産寸線の企業を大改革して立て直すなんてことはESTJがやることではありません。
感情(F)機能と直観(N)機能が苦手分野
ここでユング心理学の考え方を使ってESTJの性格機能を図にしたものをご紹介します。
《注意》MBTIでの解釈とは異なります。
ご覧の通り、思考(T)機能と感覚(S)機能は「意識」の領域にあり、十分に開発されているため本人も使い慣れていることがわかります。
ところが感情(F)機能と直観(N)機能については「無意識」の領域にあって未開発の状態になっていると言えます。
これら未開発の部分にかかわる問題はこのタイプにとってはまさに苦手分野となります。
しかし一番の問題はこうした苦手分野を持っていることではありません。
本人に「自分にはそういう苦手分野がある」という自覚がないことこそ、最大の問題なのです。
苦手な機能については開発するのはなかなか困難です。
しかし今述べたような自覚を持つだけでも生き方が変わったり、あるいはラクになったりするものです。
ESTJは役割重視の性格で上下関係が大好き
ESTJは組織が大好きという話はすでにしました。
その組織という歯車がうまく回転していくには、1人1人が自分の役割をしっかり果たす必要があります。
そういうところからESTJには
役割を重視する
という傾向があります。
また、先ほど述べた「命令系統」とは、別の言い方をすると「上下関係」のことですよね。
だからESTJには
上下関係が大好き
という人が自然と多いです。
自分が部下の間は上司にまるで忠犬ハチ公のように仕えます。
でも自分が上司の立場になると、自分に逆らう部下は排除しようとします。
あくまでも上司は上司らしく、部下は部下らしく・・・
というのがこのタイプの思想です。
そしてその思想を他人にも強要しようとします。
こういうのは体育会系などにありがちな「先輩、後輩」の関係とも似ていますよね。
実際、学生時代に体育会系のサークルで活躍した人が有名な大企業に入って役員クラスまで登りつめた・・・というのはよく聞く話です。
こうした事実を見ても、ESTJがいかに「上下関係」という仕組みを上手く使いこなせる性格タイプであるかが理解できると思います。
ちなみに家庭にあってもESTJの基本思想は変わりません。
「男は男らしく、女は女らしく」
これがESTJにありがちな男女観です。
ただ、そもそもESTJというタイプ自体、どちらか言えば「男性的」な性格タイプなんですね。
したがって女性のESTJは心境的にちょっと複雑なのではないでしょうか・・・。
なぜなら
「自分は女性だから女性らしくあらねば・・・」
と、伝統的な女性観にとらわれる反面、
「亭主を尻に敷きたい・・・」
という本音も持ち合わせているからです。
こういう女性を妻にした男性は、つい
「女だてらに・・・」
などと時代遅れのセリフを口にしそうですね。
でも、そうやって女性に『女性としての役割』を求める亭主の方もまたESTJタイプだったりして・・・。
ゴールが明確な競争では勝ち組になりやすい
ESTJは一般的に「競争好きな性格」をしています。
これは前に述べた「上下関係にこだわる」ということに関連しています。
つまり2人以上いる場合、
力関係をはっきりさせたい!
だから競争するんですね。
そもそも、この世の中というのは少なからず競争社会です。
だから「競争なんて嫌いだ!」という人にとって、人生はやや過酷です。
ところが競争好きのESTJにとってみれば、競争できる社会ほど居心地のよいところはありません。
ESTJにとって競争のない「ぬるい世界」など、刺激のない、死んだ世界も同然なのです。
だいたいのESTJは子供の時から競争が大好き。
学校の勉強もスポーツも恋愛も、ライバルに勝つために努力し続けてきた人たちです。
そうやって競争慣れしているため、受験戦争でも就職戦線でも、また出世競争でも「勝ち組」になりやすいのがESTJだと言えます。
ただしESTJの得意な競争とは、あらかじめゴールが明確に決まっている競争です。
たとえばテストで一番を取るとか、志望校に合格するとか、あるいは社内で出世する・・・といった「一定の枠組みの中」での競争です。
逆にゴールが明確でない競争、例えばアイデアコンテストのように、斬新なクリエイティビティを比較されるような競争は不得意だと言えます。
目に見えないものにも価値があることを知るべき
ESTJは現実主義者なので、とにかく目で見えるモノやコトが好きです。
確か『星の王子さま』という小説に
「大切なことは目には見えない」
というフレーズがあったように記憶しています。
ところがESTJに言わせれば、
目に見えるものこそ大切だ
あるいは
目に見えるカタチにすることが大切だ
となるでしょう。
皆さんはどちらが正解だと思いますか?
これは難しい問題です。
おそらく「何を大切だと思うか」によって答えは分かれるでしょう。
でも、「目に見えないものは大切じゃない」と言って切り捨ててしまうとしたら、ちょっと間違えた方向に行ってしまいそうな気がしませんか?
でも、往々にしてこれをやってしまいがちなのがESTJなのです。
目に見えないもの、つまり直観を働かせないと存在を確認できないモノ・コトに対する理解が足りないのです。
こういう点こそ、まさにESTJの最大の弱点かも知れません。
夢、正義、理想、愛・・・つまりお金に換算できないもの
ESTJの弱点をもう1つ言うと、それは「共感力が足りない」という点です。
「いや、人の気持ちならよくわかるよ」
というESTJはたくさんいるでしょう。
でも、それはおそらく得意の思考(T)機能を使って相手の心情を予測しているだけなのです。
どういうことかと言うと、例えば
「以前、あれをやったら奥さんを怒らせてしまった」
という過去のデータをもとに、
「今回、奥さんが怒っているのは前回のあのパターンと同じケースだろう」
と論理的に分析しているに過ぎないのです。
これは本当の共感力ではありません。
また、ESTJは「相手によかれ」と思って自分の意見をズバズバと言う傾向があります。
しかし、それで相手が面食らったり、心の中で深く傷ついたりしていることには全く無頓着だったりします。
そういうところから、人が離れていったりして最終的には自分自身が損をすることもあるでしょう。
こういった短所とも言える部分を良い方向に変えるには、自分の意見を口に出す前に自分自身に
「ちょっと待った!」
と言ってみるのがいいでしょう。
本当にそれを言う必要があるのか・・・。
その言葉は相手を傷つけないだろうか・・・。
こういったことを考えるのは大切なことです。
ESTJの性格診断をまとめると・・・
現代の日本は安定した管理社会でありながら、同時に厳しい競争社会でもあります。
こうした環境はESTJにとってはまさに「自分たちの土俵」ですね。
だからこそ、この記事ではESTJに対してあえて厳しいことを書いてみました。
最後にESTJの性格についてざっくりまとめておきます。
●現実をありのままに受け入れ、合理的に対処する。
●筋金入りの現実主義者である。
●何かと主導権を握りたがる性格である。
●権力志向でなおかつ権威に弱い。
●動乱期よりも安定期に芽を出すタイプ。
●競争によって力関係をはっきりさせたがる。
●夢や理想、正義などの抽象概念は苦手。
●共感力が不足していて相手の気持ちを配慮しない。