『性格理解の基本』からの続きになっています。
このページは
悩み苦しんでいる人が目の前にいる時、あなたならどんな言葉をかけますか?
立ち直る方法をアドバイスする?
それとも、
優しい言葉をかけてあげる?
いずれも相手のためを思ってのことですが、ここに2つの性格タイプの違いがよく現れています。
「論理に基づく判断」VS「心情に基づく判断」
人が何かを判断する時、論理性にしたがって判断する人もいれば、「好きだ」「嫌いだ」といった感情にしたがって判断する人もいます。
これが思考(T)型と感情(F)型の違いです。
思考(T)型の特徴
思考(T)
型の人には
論理や合理性にもとづいて判断する
という傾向があります。
例えばこんな感じです。
AならばBであり、BならばCと考えるのが最もスジの通った考え方だ
つまり論理の道筋を順番にたどって合理的な判断をするのが思考(T)型です。
感情(F)型の特徴
感情(F)
型の人には
人の気持ちや心情に配慮して判断する
という傾向があります。
例えばこんな感じです。
Aだけを選ぶとBを無視したようで悪いから、一応Bも考慮しておこう
このように人の気持ちや好き・嫌いに配慮しながら判断するのが感情(F)型の特徴です。
「思考(T)型は冷静、感情(F)型は感情的」
という解釈は少し間違っています。
思考(T)型であってもすぐにカッカと熱くなる人はたくさんいます。
(議論好きの人などはそうです)
一方、感情(F)機能が正しく発達している感情(F)型の人は意外に冷静で、一見、思考(T)型かな・・・と思える場合さえあります。
「正しいかどうか」VS「好きか嫌いか」
思考(T)型、感情(F)型には「やってしまいがち」な失敗パターンがあります。
それについて少し説明しておきましょう。
思考(T)型の人は他人が話しているのを聞いていて、その話に論理性があれば「正しい」という判断をすることが多いです。
(たとえそれが人の心を傷つけるような内容であっても・・・)
逆に感情(F)型の人の場合、自分の好きな人が話しているというだけで、その話の内容は「正しい」と判断しがちです。
確かに「好きな人の味方をする」というのは人間なら誰でもあります。
でも、感情(F)型の人の場合、特にこの傾向が目立ちます。
思考(T)型
→話に論理性さえあれば正しいと思いがち
感情(F)型
→好きな人が言うことは正しいと思いがち
「ストレートに伝える」VS「遠回しに伝える」
人に何かを伝える場合にも思考(T)型と感情(F)型では違いがあります。
それについて例をあげて説明しましょう。
会議の場で、ある人が出した企画に決定的な間違いがあったとします。
その人に対して「企画のやり直し」を求める場合、思考(T)型と感情(F)型はそれぞれどんなふうにその要件を伝えるでしょうか。
思考(T)型の場合:
その企画の間違っている点を論理的にわかりやすく説明した上で、企画をやり直して欲しいとビジネスライクに伝えるでしょう。
感情(F)型の場合:
まずその企画をがんばって立案してくれた労をねぎらい、その企画のすぐれた点をいくつか挙げた上で改善点をほのめかす、という流れで自主的な変更を促すでしょう。
それぞれのタイプの人がこのような伝え方をするのには理由があります。
思考(T)型の人は相手に要件を伝える場合、はっきりと言った方が相手も理解しやすいだろうし、喜んでくれるはずだと信じています。
一方、感情(F)型の人がわざわざ遠回しの言い方をするのは、ダメ出しをされた相手が傷つくのを心配しているからです。
こうした性格傾向の違いがあることから、この2つのタイプは日常的にもよくお互いを誤解し、不満を持つ場合があります。
思考(T)型が感情(F)型に対して持つ不満
嫌なら嫌、ダメならダメとはっきり言ってくれればいいのに、いつも遠回しに言うからこっちは混乱してしまうよ・・・
感情(F)型が思考(T)型に対して持つ不満
もう少しソフトな言い方でも十分に伝わるのに、なぜいつも人が傷つくようなことをズケズケと言うんだろう・・・
「解決策がほしい」VS「共感してほしい」
例えばあなたが自分の悩みを誰かに相談したとします。
もしあなたが思考(T)型なら、どんなふうにアドバイスをして欲しいですか。
相手があなたの悩みを客観的に分析した上で
「問題点はこの部分にあるから、それを解決するには…」
と論理的、かつ具体的な解決法を示してくれた場合、
なんて親切な人だろう!
と思考(T)型のあなたは思うでしょう。
ところがもし相手が具体的な解決策を教えてくれず、
「ああ、自分も昔、そんなことあったなあ・・・まあ、どうにかなるよ」
と言ってきたら、あなたは心の中で
頼りにならんヤツだ!
と舌打ちするでしょう。
逆に、もしあなたが感情(F)型なら、相手にどんな言葉を期待しますか。
おそらく、まずは自分の気持ちに共感を示して欲しいのではないでしょうか。
「わかるなあ、その悩み・・・」
そうやって自分の悩みを理解してくれて、なおかつ優しい言葉で励ましてくれたなら
ああ、親切な人だなぁ
と感情(F)型のあなたは思うでしょう。
(かりに悩みが解決されなくても・・・)
ところがもし相手が
「そりゃ、君が悪いよ。なぜなら・・・」
と、問題の改善点を次々と並べてきたらどうでしょうか。
おそらく
ムカッ(怒)・・・
として、アドバイスなど素直に聞く気になれないでしょう。
このように思考(T)型と感情(F)型とでは本人の性格が違うために、他人に求めるものも異なってくるというわけです。
誰もが思考(T)と感情(F)の両方を持っている
ここで1つ、大切なことを書いておきます。
それは次のようなことです。
本来、人間は誰でも思考(T)と感情(F)の両方の機能を持っている
ただ、それが意識の上で活性化しているか、あるいは無意識の領域で眠っているかの違いがあるだけなのです。
ところが「16の性格」などの心理テストを受けて
「やはり僕は思考(T)型だったか」
「どうやら私は感情(F)型のようだ」
と強く認識してしまうと、本当に「100%それだけの人間」になってしまうのです。
これは危険なことです・・・
性格テストを受けることの弊害であるとも言えます。
本当は自分がまだ発揮できていない性格を開発する必要があるのに、たまたま思考(T)型と出たため、感情(F)型としての別の側面を完全放棄してしまう・・・。
(逆もまた然り)
こういうことになってしまうのなら、最初から性格テストを受けるべきではなかったのです。
一番大切なことは
自分の性格を決めつけない
ということ。
もし「今のところ自分は思考(T)型の傾向が強いな・・・」と思ったなら、感情(F)機能の使い方を少しでも開発する・・・。
それが性格テストの本来の使い方です。
逆に「自分は感情(F)型に偏りすぎだな・・・」とわかったなら、思考(T)機能の使い方も模索してみる。
それが健全な考え方です。
要は「バランスのよい人間になる」ということです。
そうすれば、もっとラクな生き方に近づけるはずです。
そのためにこそ、自分の性格を理解する意味があると考えてください。