『性格理解の基本』からの続きになっています。
このページは
『心理テストを受けても自分が外向(E)か内向(I)か、よくわからない』
・・・という人、よくいますよね。
それもそのはず・・・
実を言うと、どの人の性格の中にも外向、内向の両面があります。
そして人によってはその線引きがビミョーだったりするのです。
この記事ではそういった「外向・内向」についての真実をわかりやすく解説しています。
「外向」と「内向」の本来の意味は?
心理学を学ばない人でも「外向的」「内向的」という言葉は聞いたことがあるでしょう。
これらはスイスの精神科医であり心理学者でもあったユングが考え出した言葉です。
ただし、皆さんがイメージしている「外向」「内向」と、ユングが定義付けた本来の「外向」「内向」とは意味がだいぶんズレていると思います。
そこでこの記事では、その
「外向」「内向」の
本来の意味を解説する
ということを目標にしました。
「外向」「内向」について何かを書くとなると、それだけで本を1冊書けるくらいの内容になります。
でも、ここでは極端に専門的になり過ぎない範囲で、しかしポイントだけはしっかり押さえて説明してみました。
性格タイプの理解は「最初が肝心」なので、ぜひ最後まで読んでみてください。
新しい環境にすぐにとけ込むタイプかどうか?
あたなの職場に中途採用の新人であるAさん、Bさんの2人が入ってきたと想像してみてください。
Aさんはすぐに職場に溶けこみ、誰とでもリラックスした感じで会話するようになりました。
ちょっと雑なところはあるけれど、初めての仕事でもすぐに要領をつかんでやっていきます。
その様子を見ていると、まるでずっと前からいた社員のように何の違和感もなく見えます。
Bさんは礼儀正しく、とてもマジメな人です。
でも、新しい職場にまだ慣れていないせいか、何となくオドオドしているように見えます。
がんばって仕事を覚えようとしているようですが、緊張のために動きはちょっとぎこちない・・・。
いかにも「若葉マークの新人さん」という感じです。
どうしてAさんとBさんのような違いが出てくるのかというと・・・
Aさんの場合
常に自分の興味や関心を周囲の環境や人に向けていて、初めての場所でもすぐに自分の波長を周囲に合わせることができるから
Bさんの場合
日頃から興味や関心がもっぱら自分自身の心の内側に向いているため、外側の環境に対応できるようになるまで時間がかかるから
ということが理由だと思われます。
そこでユングはAさん、Bさんの性格をそれぞれ次のように呼ぶことにしました。
Aさん→外向(E)型の性格
Bさん→内向(I)型の性格
そして、この外向(E)と内向(I)をひとまとめにしてユングは「態度」と名付けました。
最初からなれなれしいAさん
☞ 外向(E)型かも…
最初は変にぎこちないBさん
☞ 内向(I)型かも…
AさんとBさんの能力にまったく差がないとしても、外向(E)か内向(I)かという「態度」の違いだけで、両者に対する周囲からの印象は大きく変わります。
興味や関心が外側・内側のどちらに向いているか?
外向(E)型と内向(I)型の人には次のような相違点があります。
外向(E)型
●興味や関心がいつも自分の外側に向いている。
●良くも悪くも周囲からの影響を受けやすい。
●他人と一緒にいる時にエネルギーが充電される。
●気分転換したい時には友だちに会う。
●自分の気持ちや思いを隠しておけない。
内向(I)型
●興味や関心がいつも自分の内側に向いている。
●心の中に周囲から独立した別世界を持っている。
●1人でいる時にこそエネルギーが充電される。
●気分転換したい時には1人になる。
●考えている事をあまり人にペラペラ話さない。
別の言い方をすると、、、
外向(E)型の人は自分の外側にホームベースを持っている。
内向(I)型の人は自分の心の中にホームベースを持っている。
だから外向(E)型の人は孤独になるとガス欠になって元気がなくなる。
だけど内向(I)型の人は孤独が大好き、1人っきりの方が落ち着ける。
どうでしょう・・・
イメージできますか?
1週間に1日でもいいから、誰ともしゃべらない日がないと死んでしまうね・・・
ちょっと余談になりますが、昔
「1年生になったら友だち100人できるかな♪」
という歌詞の歌がありました。
これは「友だちがたくさんいるのは素晴らしい!」という発想から作られた歌です。
でも、これは外向(E)型の発想に過ぎません。
内向(I)型の人はむしろ少数の友だちと深く付き合うことを重視します。
それどころか「私、友だちいません」という人も珍しくはありません。
友だちがいなくても全然困らないし、寂しくないからです。
さて、先ほどのAさんとBさんの例だけで考えると、Aさんのような外向(E)型の方が「生きていくのがラク」と思われがちです。
でも、必ずしもそうとは言えません。
上記の例のように、確かに新人時代は外向(E)型の方が有利かもしれません。
ところがそのうち内向(I)型のBさんも新しい環境に慣れてくるでしょう。
そうなると逆にBさんの方が外向(E)型のAさんを圧倒するほどのパワーを発揮していくケースがよくあるのです。
ここで非常にカン違いされやすいことが1つあります。
外向(E)型か内向(I)型かということと、性格の「明るさ」とはまったく関係ありません。
ところが次のように決めつけている人がいます。
・外向的=明るい性格?
・内向的=暗い性格?
この考え方は間違っていて、ユングが言う「外向・内向」を誤って解釈したものです。
外向(E)型、内向(I)型それぞれの人物像
外向(E)型、内向(I)型の人それぞれに共通する人物像というものがあります。
それについて見ていきましょう。
外向(E)型の人物像
外向(E)型の人はすでに述べたように、常に興味や関心が周囲に向かって広がっています。
だから外からのいろんな刺激や影響を受けやすい傾向があります。
このことは次のような現象からも納得できます。
例えば外向(E)型の人が他人からひどい悪口を言われて一瞬落ち込んだとします。
でも、次に何か嬉しいことが起きると先ほどの嫌な気分が吹き飛んでしまい、ケロッとしてしまうのです。
これは外からの刺激によって気分が次々と「上書き」されていくからです。
だから一般的に外向(E)型の人は
・切り替えが上手
・くよくよしない
・前向きな性格
・・・というふうにプラス評価されることが多いようです。
でも見方を変えると
・自分を持っていない
・人間的に浅い
・失敗に学ばない
・忘れっぽい
・やや軽薄である
このようなマイナス評価に転じる場合もありそうです。
内向(I)型の人物像
一方、内向(I)型の人はどんな感じでしょうか。
外から入ってきた刺激を心の奥深いところで受けとめ、それをそのまま心の奥底で繰り返し考え続ける・・・という傾向があります。
だから内向(I)型の人には
・切り替えが下手
・引きずりやすい性格
・何でも重たく考えがち
・・・というネガティブなイメージが付きまといがちです。
でも、見方を変えるなら、
・自分の世界を持っている
・物事を深く考える力がある
・いわゆる学習能力が高い
・何かを極める才能がある
このようにポジティブに考えることもできそうです。
▼こちらの記事も外向(E)と内向(I)の見分け方の参考になります。
外向であれ内向であれ、自分を決めつけないこと
外向(E)型と内向(I)型のそれぞれについて説明してきましたが、最後にお伝えしたい重要事項は次のことです。
100%外向型、100%内向型なんて人はいない
たいていの人は外向(E)、内向(I)のどちらかに偏ってはいるものの、両方の要素を性格の中に持っています。
中には外向性と内向性とを半々持っている人さえいます。
このように考えると、
「心理テストをやってみたけど、自分が外向(E)型なのか内向(I)型なのか判然としない」
という人がいても全く不思議はないわけです。
むしろどちらか一方に決めつけることこそ無理がある・・・
いや、それどころか、一方に決めつけるのは危険ですらある、と言えます。
なぜなら先ほど述べたように、外向、内向にはそれぞれ良い面があって、その両方を自分の性格の中で開発した方がいいからです。
無理やり反対の性格になろうとするとビョーキになるから
ところが「自分は外向(E)型だ」と決めつけてしまうと、内向(I)型の良い面を開発する努力をしなくなってしまう可能性があります。
逆に「自分は内向(I)型だ」と決めつけた人は外向(E)型の良い面を開発しようとしなくなります。
心理学のテストというのは
「はい、あなたは〇〇タイプです」
とわかって終わるものではありません。
その結果をもとに「どうやって自分の未熟な部分を開発していけばよいか」を考え、その作戦を立てるためにあります。
そういう意味で
「自分に対する決めつけはよくない」
ということなのです。