前回、外向感情(EF)タイプとワクチン接種ということで記事を書きました。
前回の記事はこちら
上の記事の中で私は外向感情(EF)的な世の中の風潮について自分の考えを書きました。
でも考え直してみると、今、メディアで「ワクチンを打つべし!」と主張している人には外向思考(ET)タイプの人がずいぶん多いことに気づきました。
そして「その主張態度にはかなり問題あり」と感じています。
そこで今回は外向思考(ET)タイプとワクチン論争ということで、私の考えを書いてみました。
ワクチン打たないヤツは頭が悪い!という論理
まず動画を1つ観ていただきたいと思います。
特にご覧いただきたいのは8分20秒あたりからです。
https://www.youtube.com/watch?v=ROlTAKO41SM
先にお断りしておくと、私はこのサイトでコロナワクチンを打つべきかどうかについて深入りして語るつもりはありません。
あくまでも心理学的に人を観察したいと思っています。
それでこの動画ですが、この中である人物がこう言っています
「ワクチン打たないって言ってるヤツはバカだ」
これを言う彼は本来、外向思考(ET)タイプの人です。
外向思考(ET)の人というのは世の中を冷静にとらえ、常に論理的、合理的に物事を判断していくタイプです。
めったなことで感情をむき出しにしたり、また、感情に流されることもありません。
それなのに、このワクチンを打たない人に対する「頭が悪い」だの「バカだ」といった発言はいったい何なのでしょうか?
いつもの外向思考(ET)らしさは消え、単に感情的に人をののしっているだけです。
見ていてすごく幼稚だし、まるで小さい子供の口喧嘩みたいです。
ここで注意していただきたいことがあります。
私は決して
「感情表現=幼稚」と言っているわけではありません。
感情(F)機能をメインに持っている人の場合、とても繊細で抑制のきいた感情表現ができます。
それは外向感情(EF)タイプの人であっても、内向感情(IF)タイプの人であっても同じです。
本当の意味で感情(F)機能が優れている人の場合、感情表現をする際にも理性を忘れないのです。
ところがこの動画の人物のように、外向思考(ET)タイプの人が時折見せる感情表現にはしばしば幼稚さが目立ちます。
また他人への気遣いもなく、単に無礼なだけです。
外向思考(ET)タイプの人がいったん感情をむき出しにすると、なぜこんなにも人格が変わってしまうのでしょうか。
実はこうした仕組みをうまく説明してくれるのがユングの性格論です。
無意識の領域に眠っている「もう1人の未熟な自分」
ユングによれば、人間というのは
・自分自身の「意識」の中で稼働している「普段の自分」
・「無意識」の中で普段は眠っている「もう1人の自分」
の2層構造になっている、ということです。
まず、わかりやすい例として
外向感情(EF)タイプを考えてみましょう。
(上の動画の人物とは正反対のタイプです)
このタイプの人は物事を判断する場合、「好き・嫌い」で決める傾向があります。
つまりそれが「正しい」か「正しくない」かより、自分の好みで決めるというわけです。
「なんだかテキトーな人だなあ」と思うかもしれませんね。
でも、この人のよいところは相手の気持ちへの共感能力です。
だから人ともすぐに仲よくなれるし、人と喜怒哀楽を共にすることも大好きです。
つまり、この外向感情(EF)タイプの人というのは感情(F)機能を常に「意識」の領域で上手に使いこなしているということが言えます。
では、この外向感情(EF)タイプの人の場合、思考(T)機能はゼロなのでしょうか。
そんなはずはありません。
しかし、感情(F)機能ほど意識の前面には出ていなくて、どちらか言うと普段は「無意識」という倉庫の中に眠っているのです。
ところが、この人も時には感情をおさえて論理的に思考を働かせないといけない場面があります。
そういう場合にこの思考(T)機能が寝ぼけまなこで起き出してくるのです。
ただしこういう時、本人は論理的にしゃべっているつもりでも、周囲の人には意味不明に聞こえる場合がよくあります。
あるいは感情的にものを言っているだけで、まるでスジが通っていない場合がよくあります。
それはなぜかというと、外向感情(EF)タイプの人は普段から論理的な思考(T)機能を扱いなれていないからです。
さて、次に上とまったく逆の例として
外向思考(ET)タイプについて考えてみます。
(上の動画に出てくる人物のようなタイプです)
このタイプの人は何事も「正しいか・正しくないか」で判断する傾向があります。
つまり論理的な思考(T)機能を普段から「意識」の領域でよく使っているのです。
そして「好き・嫌い」という個人的感情はちょっと横に置いておく、というタイプです。
一見すると、この人には「人の感情」というものがないのか・・・と思えたりします。
もちろん、そんなことはありません。
ただ、この外向思考(ET)タイプの人の場合、普段は感情(F)機能を「無意識」という倉庫に眠らせているのです。
ところがこのタイプの人にも日頃の思考(T)機能では対処できない場面が時々あります。
たとえば大切な人の死に出会った時。
あるいは誰かに対して突発的に怒りを感じた場合など。
こういう時、いつもは「無意識」下に眠っている感情(F)機能が突然目を覚まします。
でも、外向感情(EF)タイプの人とは違って、このタイプの人は感情(F)機能を使い慣れていないません。
それを突然、使うわけですから超ぎこちない・・・。
普段のその人とは思えないくらい、取り乱したような理性のない感情表現になってしまったりします。
たとえば葬式などの際、普段は冷静な外向思考(ET)タイプの人が大声をあげて泣き崩れたりすることがありますよね。
これは普段から自分の感情を扱い慣れていないので、こういう時に感情のコントロールがうまくいかず、感情が暴走してしまうわけです。
また、普段は論理的に相手をやりこめているのですが、たまにその論理が通用しない相手がいますよね。
そういう時、怒りのあまり、普段の理性が吹っ飛んで、乱暴に相手を口汚くののしる原始人に逆戻りしたりします。
「のらりくらり」戦法に対する感情暴発
ユング心理学では人の性格をまず内向(I)型と外向(E)型に分けることはよく知られています。
その上で、さらに人の性格タイプを次の4つに分類します。
思考(T)型
感情(F)型
感覚(S)型
直観(N)型
これはあくまでも私個人の考えですが、今回のワクチン論争はおおまかに言えば、
「思考(T)型・感情(F)型のチーム」と「感覚(S)型・直観(N)型のチーム」との戦いではないか、と感じています。
思考(T)と感情(F)→ワクチン賛成
感覚(S)と直観(N)→ワクチン嫌だ
今のところ、ワクチン賛成派の方が威勢がいい。
というか、メディアに呼ばれるのは常に思考(T)型か感情(F)型の人たちばかりで、しかも自己主張の強い外向(E)タイプばかりなので、その人たちの主張しか聞こえてこない、というのが実情でしょう。
それに対し、「ワクチン嫌だ」派はただ身をひそめながら「のらりくらり」とかわすだけ。
今のところ、それしか戦い方がない状況です。
感覚(S)型も直観(N)型も、決して思考(T)型と真っ正面から論争はしないし、また感情(F)型と真っ正面から感情のぶつけ合いはしません。
なぜなら、その戦い方だと負けるからです。
こうした「ワクチン嫌だ」派の「のらりくらり」戦法にいいかげんシビれを切らしてイラ立っているのが思考(T)型、特に外向思考(ET)タイプの人たちです。
外向思考(ET)タイプの人というのは世の中の秩序やルールを重んじる人たちです。
彼ら、いわく・・・
「ワクチンを打ってください」と政府が言っている。
すでに全世界の人たちもワクチンを打ち始めている。
今やワクチンを打つのは常識だ。
それにワクチンは科学だ。
科学は絶対正しいに決まっている。
だからワクチンを打つのは人類の義務だ。
ワクチンで社会の秩序を守らねばならない。
それが論理的に一番正しい方法なのだ!
などなど・・・・・・
ところが「ワクチン嫌だ」派の人たちは、こうした“論理的”意見を聞いているんだか聞いていないんだか、ただひたすら「のらり、くらり」と聞き流しています。
そこでついに外向思考(ET)タイプの人たちは怒りのあまり、その思考(T)機能がバグってしまうんですね。
そして彼らの「無意識」の倉庫に眠っていた感情(F)機能が呼び覚まされて暴走することになってしまうのです。
ところがこの感情(F)機能、彼らは日頃からあまり使い慣れていません。
だから理性的なコントロールができない。
制御不能・・・
そこで、とても正常な大人とは思えないほど幼稚、乱暴、無礼な感情表現となり、公共の電波において他人を「頭が悪い」だの「バカ」だのと、ののしる結果になってしまった・・・ということでしょう。