ISTJはルールを守ってコツコツと努力を重ねる性格タイプ。
別に大それた未来を夢見るわけでもない。
報われない努力をするタイプでもない。
そういう点からも
「さほど深い悩みを抱えず淡々と生きている」
と言えるかもしれません。
でも、自分の性格特性を今以上に理解し、弱点を克服すれば、さらに充実した人生を送ることができるようになります。
ISTJは現実の感覚より自分の中の感覚にこだわる
ISTJは内向感覚(IS)型に思考(T)機能が味付けされたような性格タイプです。
まず最初に、内向感覚(IS)の特徴を説明しましょう。
これは簡単に言えば
自分の心や頭の中の感覚を重視する
という性格傾向のことです。
本来、心理学でいう感覚(S)機能とは目や耳などの五感で現実世界を知る能力のことです。
その能力を自分の心や頭の中で使うって、ちょっと意味不明ですよね。
だから次のように考えてみてください。
普通、外向感覚(ES)の場合は実際に外へ出かけて風景を楽しみます。
ところが内向感覚(IS)の場合、まず風景を写真に撮り、そこに写っている風景を部屋の中で見て楽しむ・・・、という順序になるのです。
つまり内向感覚(IS)の人にとっては、リアルな風景よりも写真の中の風景の方がリアルに感じられるし楽しめる、というわけです。
そんな人っているのかな・・・と思うかもしれません。
でも、例えば実際にネコを飼うのは面倒だけど、ネコの動画を見るのは大好き・・・という人はたくさんいますよね。
まさにその感覚が内向感覚(IS)に近いと言えます。
まあ、ネコの動画は大概の人が好きだとは思いますよ・・・。
でも、その感覚が特に発達しているタイプを内向感覚(IS)型と呼ぶ、と思っていただければいいでしょう。
今、リアルな体験よりネットでのバーチャル体験の方が楽しめるっていう人が多いんだ
このページのISTJの解説を読みながら
「どうも自分のタイプとは違うようだ・・・」
と感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
その場合、そもそも判定結果が間違っている可能性があります。
そういう方はぜひ次の記事に目を通してください。
性格診断というものについて、一番大切なことが書かれています。
直観(N)機能と感情(F)機能の開発が課題となる
ここでユング心理学の考え方を使ってISTJの性格機能を図にしたものをご紹介します。
《注意》MBTIでの解釈とは異なります。
ご覧の通り、感覚(S)機能と思考(T)機能は「意識」の領域にあり、十分に開発されているため本人も使い慣れていることがわかります。
ところが直観(N)機能と感情(F)機能については「無意識」の領域にあって未開発の状態になっていると言えます。
この無意識下に眠る2つの性格機能を開発し、目覚めさせることがこのタイプの課題と言えるでしょう。
数字やデータの中にこそリアルな現実を感じる
さて、ISTJの場合、この内向感覚(IS)にさらに思考(T)機能が味付けされていると最初に述べました。
このように
内向感覚(IS)+思考(T)機能
になると、どんな性格傾向になるのでしょうか?
それを考える前に、さっきの「動画の中のネコ」が大好きな人について考えてみましょう。
もし「実際にネコを飼うのは世話とか大変だから嫌・・・、でも動画の中のネコを見ていると胸がキューンとする」という人がいれば、それは
IST-ではなく、ISF-系、すなわち
内向感覚(IS)+感情(F)機能
つまり内向感覚(IS)がその人の感情に共鳴していくパターンと言えます。
これに対して、ISTJのように
「内向感覚(IS)+思考(T)機能」の人はネコの代わりに例えば次のようなものへのこだわりが出てきます。
●統計データ
●数字
●プログラミングのコード
つまり感情の対象となるもの(かわいい動物など)ではなく、
頭を使って考えるもの、つまり数字やデータなどにリアルな現実を感じる
ということです。
性格タイプというのはあくまでも傾向に過ぎないから、傾向で判断してね!
具体的に言えば、
「企業の決算書さえ見れば現場を見なくても経営の状況が手に取るように理解できる」
といったタイプです。
「入社以来30年間、経理畑ひと筋で仕事に励んできました」
・・・みたいな人の中にはISTJタイプの人が多いように思われます。
またプログラマーの中には
「コードで書き表した世界もまた1つの現実だ」
といった、まるで映画のマトリックスのような人もいるでしょう。
そういう人もISTJタイプかも知れませんね。
他にISTJタイプのイメージと言えば、統計学を専門にやっている人もそうかもしれません。
ISTJの人は自己完結型の性格をしている
次は周囲の人の目から見て、ISTJタイプがどんな雰囲気や印象を持った人に見えるかについて考えてみましょう。
そもそも内向感覚(IS)型というのはマイワールド型とも言うべき性格タイプです。
それでもって思考(T)型なので、常に自問自答しながら考えごとをしている印象があります。
どこか考え深げな雰囲気を漂わせている人。
でも、周りの人にはこの人が何を感じ、何を考えているのかサッパリわかりません。
また、ISTJ本人も自分の頭の中を他人に理解してもらおうとは思っていないようです。
もし悩みごとがあっても人に相談したりはせず、自分で考え、自分で解決するタイプです。
そういう意味では自己完結型の人とも言えます。
また、広い世界に興味を持つわけではなく、プログラミングならプログラミングに徹底的にこだわる人。
そういう意味では多少「おたく」っぽいところもありそうです。
友だちはあまり作らないし、そもそも友だちなど不要だと考えています。
これは内向(I)型なので、人と会うということ自体がエネルギーの消耗につながるからです。
消耗したエネルギーは1人っきりの時間を楽しむことで回復されます。
人との交流を重視しない、という傾向は恋愛面にも出てきます。
このタイプの人は(あくまでも傾向としてですが)恋愛に興味のなさそうな人が多いように思われます。
それが別に問題だというわけではないのですが、逆に異性からのアピールに気づかない場合があるのです。
これはどういうことかというと、もし異性がこのISTJタイプの人に特別な好意を抱いたとしても、「相手の気持ちに気づいてあげられない」ということです。
そこでもし相手がこのISTJの人に「脈があるかどうか」を試そうとしても、ISTJの人というのは異性からのアプローチに対して反応がにぶい傾向があるのです。
ゆえにISTJとしては思っても見なかったチャンスを逃してしまうことになります。
これは結局、自分の心の中にはアンテナを立てているのに、外の世界に対してはアンテナを立てていないからです。
こうしたことは恋愛に限らず、ISTJの残念なところと言えるかも知れません。
きまじめに手堅く生きる模範生タイプ
では、このISTJタイプの人というのは社会的に不適合な性格なのでしょうか・・・。
実はそんなこと全然ないどころか、むしろ逆です。
このタイプの人は生き方について自分なりのこだわりは持っています。
でも、社会の枠組みやルールから逸脱するということはめったにありません。
なぜなら「ルール」というものは、過去のデータを分析した上で最適解として選ばれたものだからです。
ルールに従っている限り、めったなことで失敗はしません。
・・・となると、データ分析を重視するISTJにとって、わざわざルールを破ってまで冒険する必要はないわけです。
つまり失敗しないように手堅く生きていくというタイプ。
ふざけたりすることもないので、多少、小さくまとまっている感はあるかもしれません。
でも、社会の中ではそれなりに頼りとされる模範生のようなタイプだと言えます。
また、ISTJは感覚(S)機能が強いので現実主義者であり、言い換えるなら現状維持者でもあります。
だから新しい何かに挑戦するということはめったにありません。
でも、決まった範囲の仕事は完璧にやる人。
それゆえ周囲からは
「いてくれると安心できる人だ」
と思われるタイプでしょう。
ISTJの弱点を克服して自分の能力を開発する方法
すでに述べたようにISTJタイプの人はデータなどの情報から現実を分析するのが上手です。
ところがその反対に、次のような傾向があります。
データ情報から未来を読み解くのは苦手
例えば会社の決算書から会社の現状を一目で理解し、問題点を見つけ出すまでは得意。
でも、その決算書から会社の将来を予想したり、新しい計画を立てたりするのは不得意です。
なぜかというと、ISTJには直観(N)機能の未発達な人が多いからです。
だから夢や理想、未来について考えをめぐらすのが下手、というか、そもそもそういった方面に関心がないんですね。
だから
「将来、世の中はこう動いていくだろうから、自分はこう動こう」
という発想はあまり出てこない。
あくまでも
「今、世の中はこうだから、こう動こう」
という発想で動く人です。
そういう意味では「今」に対する観察力は鋭いのですが、未来についての想像力は欠如していると言えます。
また、ISTJタイプにありがちな弱点として
細部にこだわり過ぎて全体を見失う
ということがあります。
これは物事に対して大局的な見方をするのが苦手だということです。
これもまた直観(N)機能の不足から来ているのですが、特に外向的な直観力が不足しているのが原因です。
したがってISTJタイプの人が自分の能力をもっと開発しようと思うなら、次のようなことが言えるでしょう。
すでに得意な内向感覚(IS)の能力ばかりに頼らず、今までほとんど使ってこなかった外向直観(EN)の能力を目覚めさせることも大切。
ISTJの人が適職を探す場合に注意すること
最後に「ISTJタイプの人にとっての適職探し」ということで少し説明をしておきましょう。
ネット上にあふれる「性格タイプ」のサイトを見ると、
「ISTJにぴったりの仕事は・・・」
みたいな記事がたくさん見つかるでしょう。
でも、ナマケモノ的観点から申し上げるなら、
その通りにやっても、うまくいくワケないっしょ
ということになります。
もちろん税理士のように「強すぎる国家資格」でも取れば話は別です。
でも、行政書士あたりだと営業活動がどこまでできるかが問題になってきます。
「銀行員がいい」と書かれているサイトもあります。
でも派閥闘争に巻き込まれて別の証券会社に派遣され、二度と銀行には戻って来れない・・・という、まるでテレビドラマのような人生になってしまうかも知れません。
ガッカリさせるようで申し訳ありませんが、適職や天職を探す場合、心理学をまるで占いのように使ってはダメなんですね。
心理学というものを「このタイプの人はこの仕事が向いている」などと簡単に答えが出る「都合のよい道具」だとカン違いしないでください。
それより、1つ前のところで述べたように、自分の可能性を開発することが重要です。
ISTJタイプの人は内向(I)型です。
そして感覚(S)機能が特に発達している性格特性を持っています。
したがって内向感覚(IS)型の人だということです。
こういう人は新しいことや流行などにはほぼ無関心な場合が多いです。
着ている服などにもけっこう無頓着です。
だから、あえて今までの自分とは逆の方向性を模索してみるのです。
もちろん性格を変える必要はありません。
でも、次のようなことにちょっとだけ注意してみるといいでしょう。
●もう少し外の世界にアンテナを立てる
●5年後、10年後の未来について考えてみる
つまり、ISTJの人は
「今、ここ」にばかり注意が向いている傾向があるので、その視野をもう少し拡大してみるようにするのです。
すると、もともとは現実に適応していく能力は持っている人なので、仕事の選択肢は限りなく広がっていくはずです。
ISTJの性格診断をまとめると・・・
おとなしく、きまじめで、几帳面・・・。
そんな模範生のような印象のISTJタイプの特徴について、もう一度まとめておきましょう。
●五感による現実の感覚より、頭の中の感覚にこだわる。
●数字やデータから現実世界を読み取る能力がある。
●いろんな意味で自己完結型の人。
●ルールに従いキマジメに手堅く生きていくタイプ。
●夢や未来、理想については関心が薄い。
●外界にアンテナを伸ばし、視野を広げることが大切。