ナマケモノ性格診断

MBTIの致命的欠陥をユング心理学の立場で解説【前編】

 

MBTIではミスタイプが頻発する・・・

MBTIは当たらない・・・

ネット上では時々こうした問題が取り上げられています。

 

これに対し、おそらくMBTI側の言い分としては

それはネット上の「MBTIもどき」が悪いのであって、MBTIそのものの問題ではない

ということになるのでしょう。

 

でも、ユング心理学の立場から見れば、どうもMBTIそのものにも理論上の欠陥があって、それが間違いの元ではないか・・・と思えるのです。

 

ところが多くの人はユング心理学についての知識がないため、それに気づくことができません。

 

そこで『ナマケモノ心理学』では今回の記事と次回の記事の2本立てで本来のユング心理学の考えを明らかにしながら、

MBTIのどこがヘンか?

を詳しく、わかりやすく解説することにしました。

 

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ユング心理学におけるタイプ理論の基本

 

ネットやSNSでMBTIを知った後に

「ユング心理学というものがあることを初めて知った」

という方が大部分だと思います。

 

でも多くの人はそこでストップしてしまい、ユングの世界には立ち入ろうとしません。

実にもったいないです!

ユングがわかれば、MBTIのヘンなところなど丸わかりなのに!

加えて自分自身について、もっと深く理解できるようになるのに!

 

そこでこのシリーズではMBTIの間違いを指摘する前に、まずユングのタイプ理論の全体像をお伝えするところから始めたいと思います。

 

外向型と内向型という2つの「態度」

 

まず、ユングは人の心理学的タイプを

外向型内向型

の2つに大きく分けました。

 

これがタイプ理論のスタート地点だよ!

 

この「外向内向」という指標をユングはドイツ語で

Einstellung

(アインシュテルング)

と呼びました。

 

これは辞書的には

立場、見地、態度、あり方、心構え

という意味です。

 

これを、日本におけるユング心理学研究の草分けとも言える河合隼雄さんは

一般的態度

と訳しました。

 

そして現在、唯一の日本語版として入手可能な林道義さん訳のタイプ論では

一般的な構え

と訳されています。

 

でも、他の翻訳者がユング関連の書籍を翻訳する場合は単に「態度」と訳すケースが多いようですね。

この『ナマケモノ心理学』でも単に「態度」と訳しています。

 

Einstellungをドイツ人が発音するのを聞くと
「愛してる~」
に聞こえるよ

 

思考、感情、感覚、直観という4つの「機能」

 

さて、人を外向内向に分けた上で、さらにユングは人間の心の働きを

思考、感情、感覚、直観

の4種類に分類しました。

 

そして、これらをドイツ語で

Funktion

(フンクツィオーン)

と呼びました。

 

このドイツ語は一般的に機能と翻訳されています。

 

この4つの機能を図にすると、次のようになります。

ご覧の通り、思考感情感覚直観とは相対する性質を持っていることがわかります。

 

 

そして、次がちょっと難しい内容なので注意してください。

 

ユングは上の4つの機能を次の2つのグループに分けました。

 

思考・感情
合理的機能、または判断機能

感覚・直観
非合理的機能、または知覚機能

 

ここで多くの人が疑問に思うことがあります。

 

なぜ、感情が合理的なの?

 

このことに引っかかって前に進めない人もいますので、この際、ちゃんと説明しておきますね。

 

ここで言う合理的とは、

理由があるから、それをする

という意味です。

 

例えば・・・

問題が起きたら解決しよう→思考

腹が立ったので怒る→感情

 

これに対して非合理的とは

理由はなく、最初からそうだ

という意味です。

 

例えば・・・

火は熱い→感覚

愛は素晴らしい→直観

 

火が熱いからと言って「合理的じゃない!」と理屈をこねても仕方ないよね

 

 

ちなみに思考感情判断機能と呼ばれるのは、

心の方向性

を決める機能だからです。

 

つまりアウトプットだね

 

また、感覚直観知覚機能と呼ばれるのは

情報収集

に役立つ機能だからです。

 

これはインプットに相当するよ

 

 




ユングは基本的な性格タイプを8つに分けた

 

以上の2つの態度と4つの機能を組み合わせると、次の8つのタイプが生まれます。

 

外向的思考  外向的感情

外向的感覚  外向的直観

内向的思考  内向的感情

内向的感覚  内向的直観

 

 

ここで話を進める前に、人間の心というものについてユングの考えを述べておきたいと思います。

 

人間の心はよく

海に浮かぶ氷山

に喩えられます。

 

この氷山、海面上に出ている部分は全体のごく一部で、大部分は海面下に隠れていることはご存知でしょう。

 

その海面上に出ている部分が意識、

海面下に隠れている部分が無意識

に相当します。

 

この意識無意識を合わせたものが心全体となります。

 

そしてユングは自我自己の違いについて、次のように説明しています。

 

自我とは意識の中心に過ぎないのに対し、自己とは意識無意識とを合わせた心全体の中心である

 

この自己という用語は分野が変わると全く別の定義で使われたりします。

しかしユング心理学の文脈で使う場合は常に上のユング自身の定義で使われるべきです。

 

当たりまえだよね

 

このユングの定義を覚えておいていただければ、この自己がMBTIではどうカン違いされて使われているかもしだいに理解できるようになるでしょう。

 

 

ここで、もう一度先ほどの図をご覧いただきます。

今、説明したばかりの意識無意識の領域も入れてみました。

この場合だと、この人が自分の性格の中で主要機能として使っているのは一番てっぺんにある思考です。

 

また、その思考機能が外向的な性質に傾いているのなら、この人は

外向的思考型の人

と呼べます。

 

そして、次に高いところにあるのが感覚です。

ユングはこの感覚をこの人の補助機能と位置づけています。

 

この感覚は上の図ではほとんど意識の上に出ているように見えます。

しかし実際には大部分が無意識の領域にある、と言った方がいいかもしれません。

 

 

では、もう1つ別のパターンをご覧ください。

さっきの図と同じように、てっぺんには思考があります。

同じく、その思考外向的な性質に傾いているなら、同じように

外向的思考型の人

となります。

 

ところが次に高いところにあるのは直観ですよね。

だからこの人の場合、直観補助機能になるのです。

 

ただし、この直観も実際には無意識の領域にあると言った方がいいんだけど・・・

 

・・・となるとですよ、ここからが大事です!

 

先ほど、ユングは人間の性格タイプを8つに分けた、と述べました。

でも、上のところで説明したように、補助機能がそれぞれ2パターンずつ考えられるわけですよね。

 

同じ外向的思考型であっても、補助機能が感覚の場合と直観の場合があったよね

 

だから実際には

8×2=16

計16タイプに分けようと思えば、それも可能だということです。

 

だからMBTIやソシオニクスでは性格パターンを16種類に分けているし、この『ナマケモノ心理学』でも一応16タイプを解説してるよ

 

ところがユングはあえて16タイプには分けていないんですね。

なぜなら彼に言わせると、

主要機能に比べれば、

補助機能は添え物に過ぎないから

 

補助機能とは言っても、しょせん大部分は無意識のエリアにあります。

したがって「意識的」に使いこなせるほど十分には発達していないのです。

 

だから100%意識化されている主要機能に比べると、パワーは格段に落ちる。

それゆえ、わざわざ別のタイプに分けるほどのことではない、ということなのでしょう。

 

これについては次回の記事でもさらに詳しく説明する予定

 

ちなみにもう1つ、お伝えしたいことがあります。

さっきの図を再度ご覧ください。

この図で無意識の領域に沈んでいるのは直観感情です。

(正確に言えば感覚も大部分は無意識の中にあります)

 

先ほど述べたように、ユング心理学の大きな特徴は人間の心を意識無意識の領域に分けたことです。

 

ユングによれば、人間は誰でも日常生活を送る際に意識の上にある機能を使って生きています。

 

この図の場合だと思考だね

 

それは職場でも家でも、つまり公的な場所でも私的な場所でも、常に意識の上にある同じ機能を使っている、ということです。

 

この件に関しては次回の記事でもう少し掘り下げてお伝えするつもりですが、先に少し書いておくと、MBTIでは人間の心を意識無意識に分けて考えてはいません。

 

つまりユング心理学の一番大切な部分を扱っていない・・・

 

その代わりMBTIでは人間の心を「公的自己」と「私的自己」とに分けて考えているようです。

つまりユング心理学からは大きく乖離しているのですが、この件については次回また詳しくお伝えします。

 

 

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人は何事も「分類」しないと安心できない

 

人間という生き物は何事に対しても

分類して、名前を付けたがる

という傾向がありますよね。

 

例えば胃が痛くなった時、

「これはいったい何の病気だ」

と不安になって病院に行きます。

 

とにかく病名がわからないうちは不安で仕方ありません。

でも診察を受け、

「これは胃炎ですね」

などと病名を教えられると安心してしまう。

 

病名を聞いただけで、もう治ったような気になるよね

 

胃に混沌とした痛みを感じるうちは不安なのに、その痛みの正体が「分類」されると安心するわけです。

 

だから人はあらゆる対象をできるだけ細かく分類し、それぞれに名前をつけて整理したがります。

 

そして、より細かく分類されたシステムは、何となく「より高度」に思えたりするものです。

だから人気が出ます。

 

これと同じことがMBTIにも言えるような気がします。

ユングの理論をさらに細かく分類し、タイプを16種類にしたことで、なんだか「改良」されたような気になってしまいます。

 

でも、細かく分けたことで、逆に本質が見えなくなっているような気もします。

また、細かく分け過ぎることで、

どのタイプにもピタリと当てはまらない

という問題が出てきます。

そうして何度もテストを受け直すことになります。

 

ところが受けるたびに結果が変わってしまったり・・・
でも気になるから何度でも受ける人がいる

 

このような心理の裏には、

診断結果はテストを受ければ自動販売機のようにガチャンと出てくるのであって、自分では何も考える必要はないんだ

という意識があるようです。

 

本当は本来の理論を学んで、その上で「自分と向き合う」必要があるのですが・・・。

 

 

今回の記事ではユングのタイプ理論の基本を紹介しながら、MBTIとの違いを解説しました。

MBTIの問題点が少し見えたかも知れませんが、本当の問題点は別のところにあります。

それについては次回の記事でお伝えしたいと思います。

 

タイプ論について

この記事を書く上で参考にしているユングのタイプ論は私にとってバイブルのようなものです。

この本に出会えたことで、私は自分という人間の本質がやっとわかりました。

そして心がラクになりました。

はっきり言って、タイプ論1冊があればMBTIもソシオニクスも占い本も不要です。

ただし内容はかなり難しい上、値段もちょっと高い・・・。

でも、一生かけて読み込むつもりなら、今から1冊持っておいて損はないと思います。

 

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