「性格テストの判定方法」からの続きです
このページは
自分の心の中のイメージを大切にする不思議ちゃんタイプ。
現実との接点を失わないように生きていくことが最重要。
現実とは無関係に直観的イメージが湧いてくる
優越機能は「内向的直観」
内向的直観タイプというのは全8タイプの中で最も理解されにくいタイプです。
他のタイプの人から理解されにくいだけでなく、本人も自分自身のことを他人にうまく説明することができません。
内向的直観タイプを理解するには、直観タイプのもう一方のバージョンである外向的直観タイプと比較してみるといいです。
まず、外向的直観タイプの場合です。
例えばよその国で戦争が起きたとします。
ニュースでは連日、その戦争の報道が流れています。
それを観た外向的直観タイプの頭の中ではいろんなヒラメキが飛び出してきます。
この戦争は長引いて、国際関係はさぞかし悪化するだろうな。
ということは世界経済は大打撃を受けるだろし、当然、日本経済も少なからず影響を受けるだろう・・・。
さらにその戦争が終わった後、世界がどう変わるのかを予想したり、場合によってはこの戦争をチャンスととらえて新しいビジネスを思いつくかも知れません。
つまり外向的直観タイプの場合、現実を起点にして、現実的な発想が直観的に浮かんでくるのです。
一方、内向的直観タイプの場合はかなり違います。
ある日、冷たい雨が降りしきる中を歩いていると、突然、何の脈絡もなく「戦争」という言葉を思い出す。
そのまま歩いていると、戦争にまつわる悲惨な情景が次から次へと頭に浮かんでくる。
落ちてくる爆弾、銃声の音、血を流して倒れる兵士、瓦礫の下から泣き叫ぶ子供・・・
ああ、戦争なんて嫌だ!
やはり平和が一番だ!
それにしてもいったいなぜ戦争は起こるのだろう?
人間の私利私欲が原因だろうか・・・
そうであれば、まず人に対する思いやりが大切ではないか?
そういえばキリスト教では「あなたの隣人を愛せ」と説いている
こういう思想は他の宗教にはなかったっけ・・・
・・・というふうに、これまた直観的にさまざまな思いが心の中に浮かんできます。
両タイプとも直観的な発想が次々と展開していくわけですが、大きな相違点が1つあります。
外向的直観タイプは現実に起きた「戦争という事実」を発想展開の起点にしています。
これに対し、内向的直観タイプは心の中にぽっと浮かんできた「戦争のイメージ」が起点になっています。
ちょっと話が難しくなりますが、ユングは内向的直観タイプについて
「無意識の領域にある元型から直観を引き出している」
というふうに説明しています。
また、外向的直観タイプの発想は単なる絵空事ではなく、たとえば戦争ビジネスのように実際に実現できそうなアイデアも含まれています。
ところが内向的直観タイプの場合、ただ単に主観的に心の中で思っているだけで、自分のアイデアを現実世界でカタチにしようという意図はなさそうです。
もちろん内向的直観タイプの場合も現実に起きた戦争が発想の起点になる場合はあります。
しかしそれはあくまでも最初の一瞬だけで、結局、このタイプの発想はどんどん現実離れしていくのです。
こうして内向的直観タイプの頭の中には「素晴らしい発想」なのに「実用性のない」アイデアばかりがたまっていくことになります。
内向的直観タイプの頭の中は常日頃から創造活動で大忙しです。
ところがその成果を周囲の人には一切説明しようとはしません。
自分の心の中に秘めているだけ。
もしかりにそれを他人に説明しても、理解してもらえない可能性は高いのですけど・・・。
ただ、上述のようなタイプは純度100%の内向的直観タイプの場合です。
つまり他の補助機能が発達していないタイプですね。
そういう場合、周囲からは変人、奇人と見なされることが多いようです。
ユングはこういう人たちを次のように表現しています。
「埋もれたままの天才」
「道を踏みはずした大人物」
「利口なのかバカなのかわからない人」
こういう(ちょっと最悪な)状況を脱するには、
補助機能としての思考や感情がほんの少しでも使えればいい
とユングは述べています。
内向的直観に思考や感情の機能を添えることで
自分を何とかして社会に役立てよう!
という気持ちが芽ばえてくるからです。
それでもこのタイプは自己表現が苦手なので、周囲に理解してもらうには相当な努力が必要でしょう。
しかし昔に比べると、今の時代は内向的直観タイプが活躍しやすい時代になってきています。
昭和時代、「全員野球」などというヤボな言葉が流行った頃だと内向的直観タイプのような個性はなかなか尊重されませんでした。
そしてこのタイプの人たちの多くが社会のプレッシャーに個性を押しつぶされていたと思います。
ところが今はインターネットが発達し、昔のように現実世界と直接向き合わなくても好きなことにチャレンジできる時代になりました。
むしろ純粋なイメージが自由に羽ばたける時代です。
こういう時代にあっては、四角四面の現実主義者より、発想の豊かな内向的直観タイプのような人間の方が数多くのチャンスを得られるかも知れません。
古典的な職業イメージだと予言者なんだけど・・・
ひと頃、内向的直観タイプと言えば次のようなタイプの人だと思われていました。
予言者、宗教家、神秘主義者、霊能者、占い師・・・
これは内向的直観タイプの古典的な職業(?)イメージです。
これらの職業(?)の共通点って何だと思いますか?
実はいずれも今で言う「情報産業」ですね。
昔は何らかの特殊能力を持った人が予言とか神の啓示といったカタチで人々に情報を伝えていたのです。
その特殊能力が今ではインターネットに置き換わっているわけですね。
もし、内向的直観タイプの人で
「自分の特技はなんだろう?」
と悩んでいるのであれば、「ネットを利用して何かできないか?」、「自分は何ができるだろうか?」と考えてゆけば答えが見つかるかも知れません。
精神性ばかり高め過ぎると現実との接点が希薄になる
劣等機能は「外向的感覚」
劣等機能である外向的感覚は無意識の領域にあるため、当然のことながら洗練されていません。
したがって理性の歯止めがきかずにしばしば衝動的に暴走してしまいます。
たとえばこのタイプには暴飲暴食をしがちな人が多いです。
食欲を意識でコントロールできないのです。
お金の使い方がわからず、浪費癖のある人もこのタイプには多いでしょう。
つまりこのタイプは精神性はひときわ高いけれども、逆に物質的、肉体的な制御は下手だということです。
しかし、そうした物質的・肉体的な面を時には暴走させることで、精神と肉体とのバランスをとっているとも考えられます。
ところが内向的直観が強すぎるあまり、精神性ばかりに意識が向いてしまう場合があります。
そうなると精神と肉体とのバランスが崩れ、現実に対する注意力がさらに希薄になったり、散漫になってしまいます。
その結果、自分と現実との接点をちょっとしたことで確認しないではいられなくなります。
たとえば手をちゃんと洗っただろうか、電気は消しただろうか、ドアに鍵をかけただろうか、そんな些細なことが常に気になってしまうのです。
内向的直観に補助機能がからんでくると・・・
補助機能は「思考」と「感情」
内向的直観タイプの補助機能は「思考」または「感情」です。
前のページでも述べたように、片方を補助機能として使っている人もいれば、両方を第1補助機能、第2補助機能として使っている人もいます。
《思考を補助機能として使う場合》
内向的思考タイプと少し似ていて、哲学者のような雰囲気があります。
しかしこちらは思考ではなく直観を使うタイプなので、「じっくり考えて」ではなく、直観的に考えがひらめくタイプです。
そして後から思考を使って理由付けをしていくという順番になるでしょう。
《感情を補助機能として使う場合》
人の気持ちや感情が直観的に理解できるタイプです。
したがって、たとえば1対1で行うカウンセラーのような仕事が向いているかも知れません。
ただし対面での業務を数多くやり過ぎると精神疲労がたまりやすいので注意する必要があります。
ユング的なアドバイス
内向的直観タイプの人は「自分は過小評価されている」と感じることが時々あるのではないでしょうか。
残念ながら、その「過小評価されやすい」というのは事実です。
周囲の人からすると、このタイプは何を考えていて、何をしたいのかがよく理解できません。
しかも何となく自信なさげな表情をしているため、「本当に信用してもいいのか・・・」と不安になってくるのでしょう。
でも、そうだからと言って、このタイプの人は自分自身の「あり方」を変える必要はありません。
そんなことをすると自分の本来の能力が薄れてしまうからです。
むしろ今のままの自分をどう活かしていくかを考えましょう。
また、自己表現の手段を持つことも大切です。