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INFP「寡黙なロマンチスト」の性格診断
からの続きになっています。
このページでは多くのINFP女性に共通する悩みについて、(MBTI理論ではなく)ユング心理学の立場から考察してみたいと思います。
このページの記事をお読みいただくことで、INFP女性が抱えがちな仕事や恋愛、結婚に関する悩みを解決するヒントが見つかるでしょう。
本質的には内向直観(IN)型の性格
そもそもINFPという性格タイプの本質は何なのでしょうか。
MBTIのテキストを読むと、
主要機能→内向感情(IF)
補助機能→外向直観(EN)
となっています。
MBTIはユング心理学から派生した性格検査法です。
(ただしユングその人とはまったく無関係です)
本家に当たるユング心理学の『タイプ論』に従って考えるなら、実はこのINFPの主要機能は
内向直観(IN)なのではないか
・・・と考えています。
ユング心理学の『タイプ論』をもとに考えるなら、
INFPの主要機能は内向直観(IN)。
感情(F)<直観(N)
でなければ理屈に合わないんだよね
INFP女性がもし生きづらさを感じているとするなら、その人それぞれの理由はあるでしょう。
でも、悩みの根源はおそらく同じ。
すなわち上に述べたように、主要機能が内向直観(IN)であることが原因だと考えられます。
では、その内向直観(IN)って、いったいどんな特徴があるのでしょうか?
それについて次の項でじっくりお話しすることにします。
INFP女性の悩みの根源を探る
内向直観(IN)とは文字通り
内向(I)+直観(N)
ですね。
そこでまず、「内向(I)型である」という事実がINFP女性の性格にどのような影響をもたらしているかをお話ししましょう。
無表情でクールなのに、なぜか寛容
本来、INFP女性はものすごく情緒豊かな性格をしています。
でも、だからと言って必ずしも顔の表情が豊かなわけではありません。
基本的に内向(I)型の特徴とも言える「無表情さ」というのは自己防衛のための仮面です。
中でもINFPの場合は(後でも説明しますが)自分の中のドリームランドを荒らされたくないばかりに、この仮面がひときわ頑丈にできています。
普通、外向(E)型の人の場合、たとえ嫌いな人であっても何らかの「人間関係」をキープせずにはいられません。
だから極端な話、イジメとか嫌がらせという手段を用いてでも、その嫌いな相手と関わっていこうとします。
ところが内向(I)型の場合、嫌いな人とは一切の人間関係をゼロにしたいと考えます。
さらには好きな人であっても適度に距離を置き、自分のテリトリーには侵入させないようにします。
親しく近づいてきた相手に「冷や水を浴びせる」という状態・・・
つまり、1人で江戸時代の鎖国政策を行っているようなものです。
これじゃあ、周りの人から
無愛想な人だな・・・
と思われても仕方ありません。
また、恋愛でも仕事でも、こういった性格特性がマイナスに働かないわけがありません。
ところでユング心理学の立場から言えば、内向(I)型の人は「人間関係が苦手」というより、そもそも
他人に興味がない
といった方が正しいでしょう。
人とケンカをしたがらないのも気が弱いからというより、ケンカをしてまで
相手に深く関わりたくない
といった方が正解かもしれません。
ここ大事!
またINFPはよく「他人に対して寛容だ」と言われます。
これも他人への優しさから来る寛容さというより、むしろ他人がどんな悪さをしていようが
基本、興味ない
だから、いちいち目くじら立てて怒らない・・・
というのがこの寛容さの正体でしょう。
INFPの場合、
内向(I)+直観(N)+感情(F)
そしてMBTIで言う知覚(P)型
という組み合わせになっています。
実を言うと、内向(I)を取り巻くこの組み合わせは内向(I)的性格が最も強調されてしまう組み合わせです。
さらに「女性である」という条件が加わることで、内向(I)性がさらにアップしてしまうことになるのです。
演じたい「自分」を演じていない
INFPというタイプは「割と大人しい」という印象を周囲に与えます。
これはINFP男性にとっては「覇気がない」というマイナス印象につながりがちです。
一方、INFP女性にとってはその大人しさがむしろ好感をもって受け入れられる場合が多いです。
ところがここからがINFP女性にとっては難しくなるところです。
INFP女性は本来、ただ大人しいだけの人間ではありません。
案外、心の中は誰よりも過激だったりする。
また激しい感情が心の中に渦巻いていたりする。
ただ、それを外に表現するすべを持っていないのですね。
そこでもって周囲からは
「あなたは大人しい人ですね」
「あなたは優しい人ですね」
と、やや見当違いのレッテルを押されてしまう。
そこでINFP女性は自分の気持ちの「持って行き場」がなくなってしまうわけです。
本当の自分はただ大人しいだけの人間ではない!
本当は自分だって自己主張したい!
ところが、ここまでレッテルを貼られてしまうと、何となくそれに従わざるを得ないような気がしてきます。
こうしてますます生きていることが窮屈に思えて来たりするのです。
話は少し変わりますが、ユング心理学にはペルソナという言葉があります。
このペルソナという言葉はもともとは古代ローマ時代の演劇の中で役者たちがかぶっていた「仮面」のことです。
私たちは役者ではないけれど、普段の生活の中で「仮面」をかぶって生きていると言えます。
たとえば彼氏の前では「彼女」という仮面。
職場の上司の前では「忠実で働き者の部下」という仮面。
親の前ではその期待に応えようとする「できのよい子供」という仮面。
こうした仮面はもともと環境に上手に適応するためにかぶるものです。
しかしその仮面にとらわれすぎ、常に仮面をかぶり続ける生活をしていると、それなしでは生きて行けなくなります。
そして結果的に自分を追い詰めることになります。
それでユングは好きな時に仮面(ペルソナ)をはずして素顔に戻ったり、あるいは自分の意志で自由に取り替えたりできるようにすべきだ、と考えました。
さて、ここで1つ、おさえておくことがあります。
仮面をかぶるということは、少なくとも他人の存在を意識しているということです。
だからこそ、その他人に合わせたり、環境に適応するために仮面をかぶるわけですね。
同じようにINFP女性もまた仮面をかぶっています。
ところがINFP女性の場合、その仮面は果たして他人の存在を意識するからこそ、自分の意志でかぶった仮面だと言えるでしょうか。
どうも、そうではないような気がしませんか?
もともと本人は仮面などかぶるつもりなどなかった。
だけど、周りの人が勝手にいろんなレッテルを貼ってきた・・・。
そして気づいたら、そのレッテルが仮面となって、自分の顔にくっ付いていた・・・というのが本当のところではないでしょうか。
例えば
大人しい人というレッテル
優しい人というレッテル
寛容な人というレッテル
遠慮がちな人というレッテル
No!が言えない人というレッテル
こうしたレッテルが無表情な仮面となり、INFP女性の印象を形作っているように思えます。
では、その仮面を取ればいいのですが、仮面の下にあるのは、死んでも他人には見せたくない「自分の内面」だったりするのですね。
だからこの仮面をはずすわけにもいかない・・・。
では、どうすればよいのか?
答えは1つしかありません。
自分の意志で新しい仮面を作り、自分の意志でそれをかぶる。
INFPの人は気づいていないかもしれませんが、あなた以外の人たちは全員、自分の意志で作った仮面をかぶって生きています。
その人たちは家に帰ると、今度は家族の前で別の仮面をかぶります。
つまり、その場その場でいろんな自分を演じているのです。
仮面を付け替えながら生きていくなんて、そんなの「偽りの人生」だ・・・
と、正直なINFP女性は思うかも知れません。
でも、周りの人たちから押し付けられた「本来の自分ではない仮面」を永遠にかぶり続けているあなたもまた「偽りの人生」を生きていることになります。
しかもその仮面は好きでかぶり続けている仮面ではありません。
それをはずすと周囲の期待を裏切るような気がするため、はずしたり、取り替えたりする勇気が出ないだけです。
自分の中に壮大なドリームランド
次に「内向(I)+直観(N)」の
直観(N)型という面について考えてみましょう。
他の記事でも説明している通り、感覚(S)型を現実主義者だとするなら、この直観(N)型は理想主義者、女性の場合だと「夢みる乙女」といったところでしょうか。
しかもこの理想主義が内向(I)エネルギーと結びついているため、一般にINFP女性は心の中に自分の理想郷、いわばドリームランドを持っている場合が多いです。
ただしINFPとは言え、基本的に女性の方が男性よりは現実的です。
だから現実オンチのINFP男性より、INFP女性はよっぽど現実を計算していると言えます。
しかしINFP男性の場合、しばしばおバカな冒険をしでかして現実世界に打ちのめされるという経験だけはたくさんしている。
それに対し、INFP女性は防備を固めすぎるあまり奥座敷に引っこもって出てこない・・・。
そこが問題です。
だから心の中のドリームランドは広大でも、現実的な行動半径はなかなか広がりません。
こうしたことは仕事選びはもとより、恋愛や結婚面でもマイナスに働くことが多いでしょう。
それでもINFP女性は男性にモテやすい
「INFP女性は意外にモテる」
などと言うと、
「意外とは失礼な!」
とお叱りをいただきそうですね。
でも実際、INFP女性は男性にモテる傾向があります。
なぜなら、再び先ほどのペルソナ(仮面)の話に戻りますが・・・
INFP女性がかぶっている、というか、かぶらされている仮面というのは、実は多くの場合、世の中の男どもが
女性たるもの、こうあって欲しい・・・
と願うような、いわば理想の女性像を押し付けたような仮面でもあるからです。
例えば・・・
優しい女性
気立てのよい女性
従順そうな女性
わがまま言わない女性
こうした仮面をずっとかぶっているINFP女性なら、モテるはずです。
・・・であるなら、当面はそれを利用するのが得策です。
でも、なるべく早い段階でその仮面ははずした方がいいですね。
ただ、素顔になる勇気がないなら、新しく自分の仮面を作る必要があります。
これは「偽りの自分」になる、ということではありません。
自分の「役」をはっきりさせる
ということです。
では、どんな仮面を選ぶべきなのか・・・
これについては、また後でヒントを述べたいと思います
でも、これについてはまた別の機会に・・・
INFPが職場で過小評価されやすい理由
内向直観(N)型の人というのは、職場等で過小評価されやすい傾向があります。
当然、その内向直観(N)が主要機能であるINFPにおいても同じことが言えます。
なぜか?というと、これにはちゃんとした理由があります。
たとえば上司から何かを尋ねられた場合を考えてみましょう。
INFPのような内向直観(N)の人はちゃんと答えるために、頭のなかで一所懸命に答え方を組み立てようとします。
ところが、その「決めかねているような表情」を見て、上司はたいがい次のように思うのです。
一体、何を困惑しているのだろう?
自信がないのだろうか・・・
こうして上司はそのINFPの部下に対して
大丈夫かな・・・
この人に任せると失敗しそうだな
と不安を覚える。
そして、その不安がその部下に対する過小評価につながるのです。
この場合、何が一番問題かというと、本人は自分自身の「困惑しているような表情」に気づいていない・・・ということです。
つまり自分の中に入り込みすぎているため、自分を客観視できていないんですね。
これこそ、内向直観(N)の人、特にINFPの人にありがちな傾向です。
この問題の解決方法はいろいろあると思いますが、最も直接的で役に立つのは、以前、こちらの記事で述べた表情筋の訓練です。
INFP女性が持っている恋愛のチカラ
「INFP女性は意外にモテる」
という話はすでに上の項でしました。
問題は「かぶらされている仮面」を取り替えることでしたね。
つまり自分の意志で自分仕様の仮面をかぶる、言い換えると自分本来の「役」を見つけるということです。
これは簡単に言えば、自分の得意な分野を見定めるということでもあります。
・・・と言われても、おそらくINFP女性の方たちは自分の得意分野などわからないと思います。
ただ、男女とも、INFPに共通している特技があります。
それは「人を力づけること」です。
INFP自身は外部からエネルギーを受けるのは好きではありません。
人から励まされたり、ほめられるのはちょっと抵抗がある。
だから、自分もまた他人を励ましたり、ほめたりなんか、したくないと思っている。
相手に迷惑だと思うから・・・。
でも、これは誤解です。
世の中には人に励ましてもらいたいと思っている人が山ほどいます。
そして不思議なことに、INFPの人というのは人を励ましたり、良いアドバイスをしたり、あるいは相手の長所を見つけるのが得意です。
これはおそらく内向直観(IN)特有の「本質を見抜く力」によって生み出される才能なのでしょう。
この「人を励ましたり、長所を見つける才能」は恋愛ばかりでなく、婚活でも非常に役に立つでしょう。
普段、あまり出しゃばらないINFP女性から励まされたり、長所を指摘されたりして、喜ばない男性がいるとは思えません。
また、仕事の場においても、同僚や部下、場合によっては先輩や上司をそれとなくおだてることさえ得意なはずです。
(一度、試してみるべき!)
めったに自分の心中を吐露しない人の一言は強烈にパワーがあります。
しかもそれが利己的な意図から来る言葉ではなく、人のためを思っての言葉なので、なおさら相手の心に深く入っていくのです。
でも、多くのINFP女性は自分のそうした才能に気づいていません。
かりにそれを指摘されたとしても、
自分ごときがそんな大それたことを・・・
と考えてしまいます。
でも、この才能を活かすことで、人生という舞台での
INFPとしての「役」
が活きてくるはずです。
まとめとして
INFP女性には
「こうあらねばならない」
という縛りを感じながら生きている人が多いです。
つまり、そういう仮面を周囲からかぶらされているのです。
でも、その仮面は自分の意志ではずすことができます。
ただし、素顔は自分1人のために取っておき、普段は自分の意志で選んだ仮面をかぶることにしましょう。
仮面をかぶって生きるのは「偽りの人生」ではありません。
人生という舞台での自分の「役」、
言い換えると「自分の役割」を明確にすることです。
そうすれば自然と生きづらさは解消され、仕事も、恋愛も今以上にうまくいくようになるでしょう。