ネット上でHSPについての誤解が広がっています
また、芸能人たちの中には実際にはHSPではないのにカン違いから自分はHSPだと「カミングアウト?」している人までいます。
そこで今回、HSPの提唱者エレイン・アーロンさんの説明を借りてHSPをちゃんと定義してみたいと思います。
HSPの提唱者 エレイン・アーロンさんの定義
HSPの提唱者であるエレイン・アーロンさんはHSPについて語る時、DOESというキーワードをよく使います。
これはアーロンさんが提唱するHSPの4つの特性の頭文字を取って作った言葉です。
このDOESの読み方についてですが、アーロンさんによれば「ダズ、ドーズ、どちらでも好きな方で呼んでいいよ」ということです。
DOES
D:Depth of Processing(処理の深さ)
O:Overstimulation(刺激に過敏)
E:Emotional Reactivity(情緒的反応)
S:Sensing the Subtle(些細なことも気づく)
今回、この4つに特性について解説するとともに、それぞれが持つ弱点などについても書いてみました。
ただしアーロンさんの説明の中にある「E」(情緒的反応)についてはEmpathy(共感力)の「E」と考え、「共感能力が高い」という見出しに変えました。
HSPは脳内での処理が深い
何か新しいことを始める場合、普通の人ならさっさと始めますよね。
ところがHSPの場合、何か考え込んでいるようで、なかなか動こうとしない・・・。
周囲の人にはそういうふうに見える場合があります。
つまり「とっかかりに時間がかかる」ということ。
これはともすると周囲の人をイライラさせる原因になります。
でもこの時、HSPの脳内では普通人にはちょっと想像のつかないことが起こっているのです。
HSPには何かを始める際、「一度立ち止まって観察する」という傾向があるのです。
実際には何も進捗していなくても、脳の中では誰よりも「その物事」への理解が進んでいるのです。
だからHSPがいったん「その物事」を理解し尽くしてしまったら、作業能力が何倍、何十倍にもアップします。
ただし問題点が1つあって、先ほども述べたように最初の時点でまず周囲をイライラさせがちなこと。
それによって熟達者になる芽を早期の段階でつぶされてしまうケースがあることです。
普通の人の意見だと、
「考えてから動くのではなく、動きながら考えろ」
となりますよね。
でも、いったん考えがまとまったら、たぶんほとんどの人が追いかけてこられないくらい、ワープ速度で動いてしまうこともあるのがHSPです。
そういうHSPのハイパーな能力に世の中が気づいてくれるといいのですが・・・。
HSPは刺激に敏感である
よく言われるように、HSPは刺激に敏感です。
つまり、過敏だということです。
しかしこれを「感性が豊か」というふうに解釈すると、HSPの本質を誤解してしまいます。
どちらか言えばHSPは自分の神経系を高速度に回転させることで人一倍敏感になっているといった方が正解です。
つまりそれだけ神経系に過度の負担をかけているのです。
この点がいわゆる「感性豊か」とは違う点です。
ともあれHSPは神経系を高速回転させてしまうため、人一倍、疲れやすかったりします。
これがHSPが持つ4つの特性の中では明らかに弱点と言える部分です。
ただしこの疲れは休息さえ取れれば回復します。
ところでHSPが持つ過敏さの問題点は、それを自分でコントロールできないことです。
つまり勝手に神経が高ぶってしまうのです。
HSPは「傷つきやすい」とか、「人の目を気にするあまりシャイになる」とよく言われるのも、この勝手に起きてしまう過敏さのためでしょう。
HSPは共感能力が高い
人間を含めた霊長類の脳内にはミラーニューロンと呼ばれる神経細胞があります。
この神経細胞には
「他人がしていることを見て、まるで自分がしているように感じさせる働き」
があります。
早い話、「共感能力」をつかさどる神経細胞のことです。
HSPの場合、このミラーニューロンがとても活性化しやすいそうです。
それによって、HSPは他人の感情をただ理解するだけでなく、相手が感じるのと同じことを自分の中で感じてしまうことがあります。
だから単に共感能力が高いというより、
「他人の感情を自分の中で再現してしまう」
と言った方が正確かも知れません。
この能力が何かのデメリットになるということはなさそうです。
しいて言えば涙もろすぎて気が弱そうに見える、といったことくらいかもしれません。
HSPは些細なことにもよく気づく
HSPは他人が見逃しているような些細なことにもよく気づきます。
ただしこれは必ずしも目や耳などの感覚器官が優れているということではありません。
確かにHSPの中には聴覚や皮膚感覚などの感覚が異常に鋭い人もいます。
でも、HSPが「些細なことに気づく」のはそのせいではありません。
目や耳、皮膚感覚などから集めた情報を脳の中の深いところで統合的に処理することで、普通の人が気づかないようなことに気づいてしまう、ということです。
ただし、こうした脳内の作業を本人は意識的にやっているわけではありません。
本人としては「なぜか知らないけど、そう思った」だけなのに、それが当たっている場合が多いのです。
だから本人は自分のことを「直観力がある」と思っています。
しかし本当のことを言えば、無意識のうちに脳の中で情報を処理して、正解を出しているのだと考えられます。
これは非HSPの人から見れば、まるで予知能力を持っているかのように思える場合があります。
でも、実際にはそこまでスピリチュアルなものではないのでしょうね。
ちなみに私自身のこうした能力については次の記事に少し書きましたので、よかったら読んでみてください。
HSPのこの「些細なことに気づく能力」は、時に「些細なことを気にしすぎ」という負の側面になって出てくる場合もあります。
また、「いろいろ心配したけど思い過ごしだった」という結果に終わる場合もあります。
これがこの能力のデメリットだと言えば、言えるかもしれません。
もう1つ、念のために書いておくと、この「些細なことによく気づく」というのは、いわゆる「気にしい」とか「神経質」という意味ではありません。
ここがよく誤解される点なので、注意してください。
①脳内での処理が深い
②刺激に敏感である
③共感能力が異常に高い
④些細なことによく気づく