元気な子は「子供らしい」のでしょうか?
ハキハキした子は「子供らしい」のでしょうか?
そもそもこの「子供らしさ」とは何でしょう・・・
それはたいがいオトナの一方的な思い込みで、それによって迷惑している子供も多いです。
今回はこうしたオトナの思い込みと子供が受ける心の傷についてのお話です。
外向(E)型か内向(I)型か・・・これが一番大事!
このサイトでは主にユングのタイプ論をもとに人間の性格を考察しています。
ユングのタイプ論ではまず、
外向(E)型か? 内向(I)型か?
ということが一番重要なファクターとなります。
その上で次の4つのタイプのどれが強いかを見ていきます
- 思考(T)型
- 感情(F)型
- 感覚(S)型
- 直観(N)型
その結果、次のような8つの性格タイプが想定できます。
外向思考タイプ 内向思考タイプ
外向感情タイプ 内向感情タイプ
外向感覚タイプ 内向感覚タイプ
外向直観タイプ 内向直観タイプ
繰り返しになりますが、人の性格タイプを考える上で最も重要なのが
外向(E)型か? 内向(I)型か?
という点です。
極端なことを言えば
「人生、ここだけ見ておけば大きな苦労はせずにすむ」
というくらい重要なファクターです。
「外向? 内向?」は子供時代のトラウマに関係しやすい
自分が思考型か、感情型か?
あるいは感覚型か、直観型か?
これについては自分自身、
「大人になってもよくわからない」
という人はたくさんいます。
ところが自分が「外向型か内向型か」については、たとえそういう言葉は知らなくても、誰もが幼い頃から何となく気づいているものです。
皆さんにも覚えがあるでしょう。
例えば外向型であれば
子供の頃から目立ちたがり屋だった
学級委員や生徒会長に立候補したことがある
野球などのチームスポーツが大好き(今でも)
内向型であれば
子供の頃から人見知りが強かった
うるさい環境が大嫌いだった
1人で石を拾って遊ぶのが好きだった
そして、
「自分はどっちのタイプで、クラスの〇〇ちゃんはこっちのタイプだな」
・・・というふうに、なんとなく人間には2つのタイプがあることに、子供の頃から気づいていた人は多いと思います。
つまり外向か内向かというのは人間が幼い頃から発達させる重要な「自覚」なのです。
ところが困ったことに、子供のそうした「自覚」をヘシ折ってくる人たちがいます。
それが周囲のオトナたち、特に両親です。
子供の時分、両親からの圧力で「自分らしくない側の性格」を強要されやすいのがこの外向・内向なのです。
そして、それは幼年時代のトラウマ形成に関係しやすいように思います。
「子供らしい」という理由で外向性を強要されがち
どの子供にも「その子らしさ」つまり個性というものがあるはずです。
親にとって必要なのは「その子らしさ」を見抜いて、それを伸ばしてあげることなのですが・・・。
家族の中で自分1人が外向の場合は軽症
たとえば両親、姉、妹の4人家族がいたとします。
そして両親と姉は内向で、妹だけ外向という場合があります。
こういう場合、1人だけ外向型の妹は何かと窮屈な思いをするでしょう。
例えば内向型の両親と姉は部屋で静かにテレビを観ているのに、外向型の妹だけドタバタと走り回っている。
それで両親からいつも
「〇〇ちゃん、静かにしなさい!」
と叱られる。
また、
「お姉ちゃんは落ち着きがあって放っておいても1人で大人しく本を読んでいるのに、妹の方は落ち着きがなく、遊び回ってばかりいる」
と評価されたりします。
しかし、外向型の子供の場合は立ち直りが早いので、子供の頃に親からどんなに叱られてもケロッとしています。
ところが内向型の子供の場合はまったく逆です。
子供の頃に両親から受けた心の傷がトラウマとなる場合がしばしばあるのです。
それが次に述べるようなケースです。
家族内で自分1人が内向だとツラい子供時代に
上の例とは逆に、両親と姉が外向で、妹だけが内向というケースの場合は問題がちょっと深刻になります。
子供時代、一般的にまわりの大人たちから評価されやすいのは外向型の子です。
というのは、一般的な価値観として、
子供は少しくらいワンパクな方がいい
明るく元気な子供に育ってほしい
ハキハキした子供は気持ちいい
・・・・・・
こういうふうに大人たちは子供に対して、一種、ステレオタイプ的な「子供らしさ」を要求することが多いからです。
そして、その「子供らしさ」とはたいがい外向的な性格タイプを基本にしています。
なぜ下の子はお姉ちゃんみたいにハキハキしてないんだろう?
お姉ちゃんは毎日友だちと遊びに行くのに、下の子はなぜ友だち作りが下手なんだろう?
お姉ちゃんは学級委員に立候補するタイプなのに、どうして下の子は消極的なのだろう?
こんな感じでいつも外向型の姉との比較され、内向型の妹は「イケてない」部類に評価されがちです。
もし、両親が外向と内向の組み合わせなら、人間にはいろんなタイプがあるものだ、というふうに子供に対しても理解を持てるでしょう。
ところが両親いずれも外向型の場合、そもそも内向型という性格タイプの存在自体が理解できないケースがよくあります。
その結果、
引っ込み思案は悪いことだ
友だちが少ないのは悪いことだ
おとなしいのは子供らしくない
・・・・・・
こうした思いが親の中で定着していくことになります。
そして子供に対して
〇〇ちゃんの家に遊びにいってらっしゃい!
もっと友だちを作りなさい!
もっと元気に、ハキハキしゃべりなさい!
・・・・・・
という強要行為が始まってしまうわけです。
親が心配しなくても子は育つのに
親の思いとしては、家にこもりっきりの子供に対し、
「将来、この子はパッとしない大人になってしまうのでは・・・」
と心配してしまうのでしょう。
でも、実際にはまったく逆です。
たとえば内向型の子供であれば、子供のうちにまず自分の中に内向型の基板をしっかり作る必要があるのです。
そうしておけば、成長するにつれて外向的な部分も自然と身についてくるのです。
これは逆の場合も同じです。
外向型の子供の場合、いつも騒がしいので親が手を焼く場合があります。
ところが成長するにつれて内面も開発されてきて、自然とバランスのとれた大人に成長することも多いです。
つまりは外向型であろうが内向型であろうが、本来の「その子らしさ」をオトナが見抜き、そして妨害さえしなければ、子供はバランスよく成長するのです。
こういう自然法則に反した育てられ方をすることで多くの人間は心にトラウマを抱えることになります。
ひと頃、よく言われた「毒親」などというのも、こういうことが関係しています。
▼内向型と外向型の見分け方については次の記事も参考になります。