HSP・トラウマ・愛着障害

専門家もカン違いしているトラウマの対処法

嫌な記憶≠トラウマ

 

一般的に「嫌な記憶=トラウマ」だと考えられています。

だからトラウマを解消するには、その「嫌な記憶」を消せばよい・・・と。

 

ところがここに1つ問題があります。

「忘れようとすると、かえって嫌な記憶は忘れられなくなる」という問題。

 

そこで、動画などでよく紹介されているのが次の方法。

「嫌な記憶を忘れようとしてはいけない」

「むしろ嫌な記憶を思い出してみよう」

すると「嫌な記憶」は消えていく・・・という作戦です。

 

しかしここにはちょっとしたカン違いがあります。

それは

記憶喪失症にでもならない限り、

「嫌な記憶」は忘れられない!

という現実。

 

その現実をふまえた上で、あらためてトラウマの正しい対処法を考えてみましょう。

 

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そもそも「嫌な記憶=トラウマ」ではない

 

人間、生きていれば誰にでも嫌な思い出があります。

 

たとえば

・学生時代、テストで最悪の点数を取ってショックを受けた思い出。

・大好きな人にフラれた思い出。

・何かのコンテストで落選して涙を流した思い出。

・商店街のど真ん中で派手に転んで大恥をかいた思い出

・・・・・・・・・

 

でも、こういう嫌な思い出がことごとくトラウマになるわけではありませんよね。

むしろ嫌な思い出は人を成長させてくれることさえあります。

 

つまりここで確認しておきたいのは

「嫌な記憶=トラウマ」ではない

という事実です。

 

 

だからトラウマを解消するには

嫌な記憶を消せばよい、

・・・という考え方自体、そもそも間違っています。

 

確かに私も便宜上、「嫌な記憶の消し方は・・・」なんていう表現をすることがあります。

でも、これは正確な言い方ではありません。

 

嫌な記憶だろうが、楽しい記憶だろうが、記憶って、そんな簡単に消えるものではありません。

だから正しく言えば、

「記憶は消えない」という前提で、

トラウマの解消方法を考えることが大切です。

 

でも、その前にいったん「トラウマとは何か?」について、もう一度確認しておきたいと思います。

 

 

嫌な記憶に「嫌な感情」がこびりついてトラウマとなる

 

すでに書いたように、嫌な記憶がすべてトラウマになるわけではありません。

したがって、たまたま嫌な記憶を思い出したとしても、それをフラッシュバックとは言いません。

 

では、何をトラウマと呼び、何をフラッシュバックというのか・・・。

 

まず、トラウマとは何年経っても痛みが消えない「過去に受けた心の傷」のことを言います。

 

たとえば子供の頃、いじめられたとします。

ただ単に「いじめられた」という嫌な記憶だけではトラウマにはなりません。

 

ただ、その「いじめられた」時の悔しさ、怒り、恥ずかしさなどのネガティブな感情が今も忘れられず、その感情を思い出すことで苦しくなるなら、それはトラウマです。

 

そして、そうした嫌な感情を思い出して苦しむ症状をフラッシュバックと呼ぶのです。

 

 

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トラウマを単なる「嫌な思い出」に格下げすればよい

 

結局、トラウマを解消するには、嫌な感情を忘れる必要はありません。

 

「嫌な記憶」にこびりついた「嫌な感情」をはがせばよいのです。

 

そうすると、トラウマは単なる「嫌な記憶」に格下げされます。

 

すると、その「単に嫌なだけの記憶」を思い出したとしても、それ以上に怒りが湧いてきたり、緊張したりといった苦しみに悩まされることはなくなるはずです。

 

つまり

「思い出すこと=フラッシュバック」

ではなくなる、ということです。

 

 

「嫌な記憶」から「嫌な感情」をはがす方法

 

このサイトでは今までにもトラウマ解消法をご紹介してきました。

その効果的な方法は

嫌な記憶を文章にしてみる

という方法です。

 

記憶というのはアタマの中にある限り、生き物のように感情がこびりついたままになっています。

それを文章化することで、自分でも驚くくらい客観的なものになります。

 

感情的なものが放出されて、離れていきます。

残りは「昆虫の標本」みたいになってしまいます。

 

その具体的な方法は次の記事に書いておきました。

フラッシュバック
フラッシュバックを1つずつ消していく具体的な方法 強烈な悲しみや怒りなどを感じた場合、それがトラウマ(心的外傷)となって心の中に居ついてしまうことがあります。 その記憶は何...

 

しかし、文章にするって、ちょっと面倒だな・・・。

そもそもトラウマを文章にするなんて、それだけで気が重い・・・。

そういう思いが出てくるのも当然です。

 

そこで、割とお手軽にできるもう1つの方法をご紹介しましょう。

 

実は必ずしも文章にする必要はなく、口に出してその記憶を自分で解説してみればいいのです。

できるだけ事細かに思い出して、その時の状況をナレーションしてみます。

 

その時の自分の感情についてもナレーションします。

どんなに悔しかったか。

どれほど悲しかったか。

どんなに恐かったか。

 

言ってみれば、これは自分の部屋で行う「ひとりごと」です。

でも、ステージの上で人に聞かせているような気持ちでやってみると案外やりやすいかもしれません。

 

トラウマを抱えがちの人って、だいたいが想像力豊かな人だと思います。

そこで、その想像力を使い、人に語り聞かせているつもりでやってみるのです。

 

ちょっと参考動画をご紹介しますね。

皆さん、TEDってご存じですか?

これはアメリカで開催されている講演会のようなものです。

いろんな人が自分の専門分野について、大勢の観客の前でプレゼンテーションをするイベントです。

たとえば次の動画など、参考になるかもしれませんね。

この動画では日本語字幕も出せるので、よかったら聞いてみてください。

 

 

 

トラウマを解消することで大切なことは、文章にするにせよ、自室で1人でナレーションするにせよ、とにかくいったん自分の頭の中から外に出してみる、ということです。

 

そうすれば、その嫌な記憶が消えることはないものの、記憶の生々しさは消えます。

つまりリアルな痛み、嫌な感情ははがれていきます。

 

トラウマの原因となった嫌な記憶を完全に忘れ去る必要はありません。

というか、そもそも記憶をなくすことはできません。

 

その代わり、トラウマを単なる「嫌な記憶」に格下げすればよいのです。

 

これなら意外に簡単です。

あとはやってみるだけ。

 

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