HSP・トラウマ・愛着障害

幼い頃、親たちからどんな愛情貯金を受けたか?

愛着障害の出発点

 

「生きづらさ」の原因は愛着障害かも・・・。

そう思って愛着障害のサイトを読んだり、

動画を観たりする人が増えています。

 

ところが「大人の愛着障害」については

医療関係者の間でも

まだ十分には解明されていません。

 

そこで多くのサイトや動画では

子供版の愛着障害の理論を

そのまま大人用に当てはめて

説明しようとしています。

 

でも、ちょっと無理があるんですよね・・・。

 

そこでこのサイトでは愛着理論について

どこまでが子供版でどこからが大人版か

はっきりさせようと思いました。

 

今回の記事はまず

子供の愛着理論

について説明します。

 

しかし幼少期の愛着障害を今も引きずり、

そして悩んでいる大人にとっても

大いに参考になること請け合いです。

 

ぜひ、最後までお読みください。

 

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専門書を読んでも愛着障害を理解しづらい理由

 

愛着障害について学ぼうとする人には2つのタイプがあります。

 

まずは小さい子供を育てている人です。

それはその子の両親や里親の場合が多いです。

また、保育園や子供相手の施設で働いている人もいます。

 

次に「生きづらさ」を感じている大人です。

ひょっとすると自分にも愛着障害があるのではないかと感じ、それについて知りたいと思っている人たちです。

 

 

このように愛着障害と言っても、

・今、子供の身に起きている愛着障害

・大人が引きずっている愛着障害

の2種類があるわけですね。

 

 

ところが愛着障害の情報を伝える側はしばしば両者を一緒くたにして本を書いたり、記事を書いたり、動画を作ったりしています。

 

だから、それを読んだり観たりする方はいろいろ誤解してしまうことが多いのです。

 

 

おまけに愛着障害に関する専門用語はいまだに統一されていません。

なぜならもともとは英語なので、その日本語訳が専門家の間でもバラバラだからです。

 

 

そこでまず、このサイトでは愛着障害という概念というか、世界を整理することから始めてみたいと思います。

(たぶん1回の記事だけでは整理しきれないと思いますが・・・)

 

 

本来、子供の愛着スタイルには4つのタイプある

 

大人が自分の抱える愛着障害を考える場合も、まずは「幼児の愛着スタイル」について学んでおく必要があります。

なぜなら大人の愛着障害も、もとをたどれば本人が幼児だった頃(特に3歳まで)に根本原因があると考えられるからです。

 

 

愛着理論が生まれたのは1950年代のこと。

当初、この理論は母親と幼い子供の結びつきに焦点を当てた理論でした。

 

まず最初に、当時の精神科医や心理学者たちが行った「新奇場面法」という実験についてご紹介します。

この実験により、幼い子供が持つこととなる4つの愛着スタイルが発見されました。

 

その実験とは次のような内容です。

 

まず、小さな部屋に母親と幼児が入ります。

そこに見知らぬ人が入ってきます。

その後、お母さんが出ていって、幼児が見知らぬ人と2人だけになったり、またお母さんが戻ってきたり、あるいは幼児が1人だけになったり・・・。

そうやっていろんな場面を作りながら、そのつど幼児がどんな反応をするかを調べるという実験です。

 

 

この実験によって、幼児は次の4タイプに別れることがわかりました。

A型、B型、C型、D型

 

なぜB型だけ色を変えたかというと、これが一応、安定型と呼ばれる正常なタイプだからです。

残りのA型、C型、D型はいずれも「育てられ方に問題あり」とされるタイプです。

 

 

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愛着スタイルの子供版4タイプについて理解しよう

 

愛着障害のどの専門書でもたいがい

の順番で説明されています。

でも、はっきり言って、この順番で説明されるとわかりづらいです。

 

そこで私は

の順番で説明することにします。

なぜなら、この順番で学ぶのが一番理解しやすいと思うからです。

 

 

では、先ほどの新奇場面法の結果とともに、各タイプについて述べることにします。

 

Bタイプ(安定型) Secure

このタイプの子供はお母さんが部屋から出て行くと泣いて後を追おうとします。

でもお母さんが帰ってきたら大喜びしてお母さんに飛びつきます。

そしてまた元気を取り戻し、楽しく遊び始めます。

これは愛着行動が正常なパターンです。

全体の60%くらいはこのタイプだと言われています。

 

英語ではSecureという言葉を使うので、だから正しくは「安心型」かもしれません。

でも日本語として不自然なためか、一般的には「安定型」と訳されることが多いです。

 

Bタイプ(安定型)となる原因】

これは子供の愛着形成に関して理想的な育てられ方をした場合です。

詳しくは前回のこちらの記事をお読みください。

☞『その「生きにくさ」の原因は愛着障害かもしれない』

 

Cタイプ(不安定型) Ambivalent

もともとの英語ではAmbivalent(アンビバレント)です。

Ambivalentとは例えば愛と憎しみのように相反する感情が同居することを言います。

これをあえて日本語で「両価型」と訳す人もいまが、かえってわかりづらいです。

だから「どっちつかず」という意味で、不安定型と呼ばれるのでしょう。

 

このタイプの子供はお母さんが部屋から出て行くとワーワー大泣きします。

ところがお母さんが帰ってきて抱きしめても泣きやまず、逆にむずかってお母さんを困らせたり、時にお母さんを叩いたりします。

 

こういう子の場合、いったいお母さんのことが好きなのか、恨んでいるのかよくわからない感じです。

だからアンビバレントだと言われるのです。

 

Cタイプ(不安定型)となる原因】

子供に対する親の愛情の注ぎ方が気まぐれであることが原因だとされています。

子供に対し、例えばある時は猫かわいがりするかと思うと、ある時は放っておく・・・。

こういった接し方をされると、子供の方も甘え方のリズムがわからなくなってしまいます。

お母さんに甘えていると、急に冷たくされる。

そこでちょっとすねていると、またベタベタとかわいがられる。

そうなると子供としてはワケがわからなくなってきて、しだいに情緒が不安定になってくるのです。

 

Aタイプ(回避型) Avoidant

このタイプの子供はお母さんが部屋から出て行っても平気です。

また、お母さんが帰ってきても特に関心を示さず、1人で遊んでいます。

 

この回避型は英語のAvoidantを訳した用語で、「人を避けようとするタイプ」という意味です。

「回避」と言われると、ちょっとわかりづらいのですが、要するに「愛着」の反対です。

お母さんや周囲の人を避けているように見える、あるいは距離を置こうとしているように見えるのがこのタイプです。

 

Aタイプ(回避型)となる原因】

幼い頃から親に甘えることができなかった子供がこのタイプになりやすいと言われています。

 

これは子供がまだ幼いうちから自立を促そうとして、親がわざと突き放したような育て方をした場合などによくあると言われています。

たとえば子供が転んで泣いていても、わざと助け起こさない。

子供が泣いて「ママーッ」と呼んでいても、わざと無視する。

そういう場合、子供にとってみれば「この人に助けを求めても無駄なんだ」という気持ちが植え込まれてしまうことになります。

その結果、子供は「どうせ甘えても助けてもらえないんだ」という気持ちになり、「無視されて傷つくくらいなら、最初から人に頼るのはやめておこう」ということになるのです。

 

施設で育てられたため、子供の頃、周囲の大人に十分に甘えられなかった子供もこのタイプになりやすいと言われています。

 

回避型の子供は一見、自立心があって、落ち着いているように見えます。

しかし実際はその逆です。

心の中は不安でいっぱいなのに、その吐き出し方がわからないだけです。

 

Dタイプ(混乱型) Disorganized

このタイプは英語のDisorganizedを訳したものです。

「無秩序型」とか「無方向型」と訳す人もいます。

 

お母さんが部屋から出て行っても、このタイプの子供は特に反応なしです。

お母さんが帰ってきた時、一応お母さんのところには行くけれども、視線を合わせようとしません。

また、お母さんに抱っこされてもすぐ離れてしまったりします。

そのくせ、見知らぬ人に対してはベタベタと甘えたりします。

 

つまりこのタイプの子供は

誰にどうやって甘えればよいかわからない

ということですね。

だから「子供の中で愛着についての混乱がある」ということで、混乱型と名付けられているのです。

 

Dタイプ(混乱型)となる原因】

親や周りの大人から虐待を受けていた子供がこのタイプになると言われています。

子供が恐い思いをした時、本来なら子供にとっては親が安全基地になるはずです。

ところがその親が逆に恐怖の主であれば、子供はいったんは親に近づいたとしても、「あっ、この人は危険な人だ」と気づいて離れてしまいます。

こういう子供は「甘える→愛情を受ける→甘える→愛情を受ける・・・・・」という当たりまえの経験を積むことができません

だから「甘える」という行為そのものを身につけることができないのでしょう。

 

虐待とまでは言わなくても、愛情の伴わない厳しさを示す親に育てられた子供の場合、この混乱型になってしまう可能性があります。

 

 

整理すると、こんな感じです。

Bタイプ→安定型 Secure

Cタイプ→不安定型 Ambivalent

Aタイプ→回避型 Avoidant

Dタイプ→混乱型 Disorganized

 

 

幼い頃の愛着形成は周りの大人たちからの愛情貯金

 

以上の4パターンが幼い子供に見られる愛着スタイルの原型です。

 

そして、1つ確実に言えることがあります。

それは幼い頃の愛着形成は親たちからの愛情貯金に他ならず、それが人生を潤すことになるということです。

 

もちろん必ずしも実の親でなくてもかまいません。

里親でもいいし、祖父母でもいいし、または保育士さんなどでもかまいません。

3歳くらいまでの間に、誰か決まった人からどのように愛情を注いでもらったか、あるいはもらえなかったかによって、4つの愛着スタイルが決まってくるのです。

 

そして、この4パターンは大人になってからも原型を残しながら引き継がれます。

 

大人の愛着障害について考える場合、まずは自分が幼年時代にどんな愛着環境にあったかを考える必要があります。

 

大人の愛着障害についてはまた別の記事で説明する予定です。

 

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