あなたは自分を単純な人間だと思いますか?
それとも複雑な性格をしていると思いますか?
もし、どちらかよくわからないなら、前回の記事でお話した「分化・未分化」の考え方を参考にすると自己分析がしやすくなります。
分化している性格機能は効率的に素直に働く
前回の記事で次のようなことを述べました。
1つの性格機能が分化してきて独立性が高まってくると、人はその機能を自由に操れるようになる。
では、具体的に分化した各性格機能はどのような特徴を持ち始めるのでしょうか?
下にまとめてみました。
感覚機能が分化
五感がするどい、センスがいい
直観機能が分化
いわゆるカンがいい、想像力がある
思考機能が分化
物事を最短距離で考えられる
感情機能が分化
喜怒哀楽をわかりやすく表現する
まとめて言うなら、それぞれの機能が何にもジャマされることなく、素直に現れるようになります。
感覚と直観の未分化は不便だけど他人にバレにくい
次にそれぞれの性格機能が未分化な場合について解説しましょう。
ただしこの場合、2つのグループに分けて考える必要があります。
4つの性格機能は次のように2つのグループに分類できましたよね。
知覚系→感覚と直観
判断系→思考と感情
そこでまず知覚系グループが未分化な場合について説明します。
感覚と直観はたとえるなら情報を取り入れるためのアンテナ機能
感覚や直観が未分化だと、入ってくる情報が混線状態になります。
感覚機能が未分化
- 五感がにぶい
- 方向音痴など感覚がオンチ
- 色のセンスが悪い
- 運動神経が悪い
など・・・
直観機能が未分化
- いわゆるカンが悪い
- 察するのが苦手
- 想像力が欠如
- 夢がない
など・・・
でも、こういうことって、あくまでも本人の中で起きていることですよね。
だから案外、他人には気づかれないのです。
「複雑な人」とは思考または感情が未分化な人
次に判断系グループ、つまり思考や感情が未分化な場合について考えてみます。
その前に、判断系の機能とは何か?
ちょっと復習しておきましょう。
判断系の機能とは知覚系の機能を通して入っていた情報をもとに、何かを判断する働きのことです。
その際、次のようなことが言えます。
●「正しいか、間違っているか」を軸に判断するのが思考。
●「好きか、嫌いか」を軸に判断するのが感情。
思考も感情も「外の世界に対して何かを判断する」機能ですから、周囲と関係を築いていくための働きだと言えます。
だから思考か感情が未分化だと、人間関係の中でその未分化な部分が弱点として目立ちやすいのです。
具体的には次のような性格になりやすいでしょう。
思考機能が未分化
- 物事をことさら複雑に考えてしまう
- 考え過ぎ
- 言っていることに筋が通っていない
など・・・
感情機能が未分化
- 素直でない、ひねくれている
- 疑い深い
- 愛と憎しみなど相反する感情を同時に抱いてしまう
など・・・
一言でまとめるなら
複雑な性格の人だ!
という印象になります。
それで周囲の人たちはこう思ってしまうわけですね。
「何ゴチャゴチャ考えてるの~」
「素直じゃないな~」
「はっきりしてよ~」
性格が「単純か複雑か」は見る角度で変わる
ここで、前回の記事に載せたのと同じ図をもう一度ご覧いただきます。
この図は思考機能が分化している人(つまり思考タイプ)を示しています。
こういう性格の人は論理的に物事を考えるのが得意。
込み入ったな問題もシンプルに解きほぐすことができます。
もし、周囲の人たちがこの人物のそういう「思考面」だけを見ていたなら、誰もこの人物を「複雑な人だ」とは思わないでしょう。
むしろ「どんな複雑な問題もあの人のアタマを通すと単純な答えとなって出てくる」と思うかも知れません。
ところが周囲の人がこの人の「感情面」を見ていたとしたらどうでしょうか?
皆、この人物を「感情が一定しないし、何だか複雑な人だな」と感じる可能性があります。
これは感情タイプの人の場合も同じです。
この人の「感情面」に注意を払っている人には、「この人物は情緒が安定していて、しかも優れた共感能力がある」と感じるでしょう。
逆にこの人物の「思考面」に注意を払っている人には、「この人物はアタマの中が混乱しているようだ・・・」と感じる可能性が高いです。
結局のところ、その人が「複雑な人か単純な人か」はその人のどの面を見てそう言っているかによって変わってくる、ということです。
自分自身のことについて考えるなら、自分の性格の中の未分化な部分ばかりにスポットを当てて悩んでいるより、分化している才能をさらにどう磨いていくかを考えた方がはるかによい、と言えるでしょう。