今までこのサイトでは愛着障害、愛着スタイルの全体像について記事を書いてきました。
今回からは愛着障害の克服方法について、少しずつ考えていきたいと思います。
小学校時代の嫌な思い出は愛着障害の原因ではない
このサイトですでに述べてきたように、愛着障害を持っている人にはほぼ共通の原因があります。
それをもう一度書いておくと、3歳までの幼児期に親または自分を育ててくれた大人から適切なカタチで愛情を注いでもらえなかったことが原因だと言えます。
ちょっと専門的な言葉をまじえて言い直すなら、3歳までに自分の「安全基地」となってくれる大人がいなかったことが原因です。
「3歳までに決まる」ということは、つまり当時のことを本人はほとんど覚えていないということです。
もしあなたが自分の両親の手で育てられたとしたなら、その両親から当時、どんな扱いを受けていたかはもう覚えていないはずだということです。
なぜ、こういうことを述べるかというと、時々、カン違いしている人がいるからです。
たとえば小学生の頃に親に毎日ひどく殴られたことが原因で愛着障害になったと語る人。
学校でいじめられたから愛着障害になったと言う人。
そういう話をネット上で時々見かけるので、
「それは愛着障害の原因ではありません」
と一言念を押しておきたいのです。
3歳までの間にどんな出来事があったのか
自分の人生、どうも生きにくい・・・
そういう悩みを抱える人の中で、あっちこっちを探索した後、ようやく愛着障害という概念にたどり着く人が増えています。
そういう人たちの多くはたとえば小学校や中学時代につらい思いをした経験があるみたいですね。
しかし先に述べたように、それらの「記憶に残っている嫌な思い出」が直接的に愛着障害の原因になっているわけではありません。
しかし小学校の頃にそういう嫌な思いをしたのなら、その伏線にあたる出来事が幼児の頃からすでにあったのかもしれません。
たとえば小学校の時、両親がいつもケンカしていたとします。
それをあなたは覚えているとします。
でも、あなたの両親はおそらくあなたが覚えていない頃から、つまり3歳以前の頃からしょっちゅうケンカをしていた可能性があります。
そのため、あなたにも十分に愛情を注げなかったのかもしれません。
そうした記憶に残っていない頃の出来事が今のあたなの愛着障害の原因になっているということです。
愛着障害とトラウマは似ているようで違う
愛着障害とトラウマはまったく性質の異なるものです。
トラウマというのはフラッシュバックに代表されるように、嫌な記憶に苦しめられることですよね。
▼トラウマの解決方法はこちら
ところが愛着障害の方はと言えば、何度も繰り返しますが、その原因となったこと自体が3歳以前の出来事なので覚えていない、思い出したくても思い出せないのです。
かりに愛着障害の原因となった当時のことを「自分の敵」だと考えてみましょう。
すると、敵をやっつけるには、まず敵の姿が見えなくては何もできません。
ところがその敵の姿が見えない・・・
それが愛着障害のやっかいなところです。
原因を覚えていなくても想像することならできる
3歳以前のことなんて覚えていない・・・
だから愛着障害の克服なんて無理・・・
そう思っていませんか?
確かに難しいですね。
けれども、1つだけやってみるべきことがあります。
それは3歳以前の自分が置かれていた状況を推測することです。
この世に生まれて、一番古い記憶は何ですか?
それは人によって微妙に違うようですが、ほとんどの人は3歳前後の頃の記憶があるようですね。
その、自分にとって最古の記憶をできるだけたくさん思い出してください。
その中に、今考えてもちょっと違和感のある出来事ってなかったですか?
例えば先ほどの話で言えば、「両親がささいなことでよくケンカしていた」みたいなこと・・・。
そうした出来事を1つ1つ思い出してみてください。
それらをつなぎ合わせていくと、記憶に残っていない当時の出来事が何となく想像できるのではないでしょうか。
そこに原因があるはずです。
こうした作業はあなた自身でしかできないことです。
こうした心の中の作業を丹念にやっていくと愛着障害を克服するヒントが見えてくると思います。
私自身もそのやり方で自分の愛着障害を克服しつつあります。
その具体的なことに関しては、また今後もお伝えしていきたいと思います。