「性格テストの判定方法」からの続きです
このページは
物静かな詩人タイプで、この人の心の内は誰にも理解できない。
感情タイプなのに無感情に見えるため、逆に冷淡な印象を与えることも・・・。
ユングが「静かに流れる水は深い」と評したタイプ
優越機能は「内向的感情」
内向的感情タイプの人は現実世界に存在するものより、自分の心の中にあるイメージの方を大切にします。
だからどんなに高価なモノが目の前にあっても、どれほど偉い人が目の前にいても、興味がなければ関心を示しません。
このタイプは全8タイプの中で一番誤解されやすいタイプです。
なぜなら「感情タイプ」と聞くと、普通、私たちは
「さぞかし温かくて優しくて付きあいやすい人だろう」
と想像します。
ところがこの内向的感情タイプには一見、冷たい人といった印象があるのです。
このタイプはだいたいが無口で、近寄りがたい雰囲気を持っています。
もし、この人の心の内側をのぞき込もうとする人がいたりすると、あからさまに
「あなたには関心がない」
という顔をされたり、場合によっては無視されることもあるでしょう。
これはいったいなぜでしょうか?
実は内向タイプ全般に言えることですが、内向タイプの人はどうしても外向タイプに対して一種の引け目のようなものを感じながら生きています。
それはコミュニケーション能力が優れていて、いつも元気な外向タイプの方が評価されやすい社会であることを考えると納得できるでしょう。
そうした人間社会の中で、内向タイプの人たちは外向タイプの人に圧倒されないように身構えておく必要があります。
だから防衛線をはって「敵」に侵入されないように用心しているのです。
特に内向的感情タイプの場合、思考タイプのように理論武装できないぶん、よけいにガードを堅くする、という戦法をとらざるを得ません。
こうした内向的感情タイプの姿勢はあくまでも保身のためです.
ところが逆に外向タイプの人たちからは冷淡な人だとカン違いされることになるのです。
私たちが「感情タイプ」に抱きがちな思い込みがもう1つあります。
それは
「きっと喜怒哀楽がわかりやすい人に違いない」
という思い込みです。
ところが内向的感情タイプは自分の喜怒哀楽をめったに外には出しません。
もし、それらを外に出している瞬間があるとすれば、それは何らかの理由があって意図的にやっているだけでしょう。
しかしそういった時のこのタイプを注意深く観察すれば、どこかに不自然さがあることに気づくことがあります。
なぜなら本人にしてみれば感情表現などという不慣れなことをやっているわけですから、どうしてもぎこちなさが出てしまうわけですね。
周囲の人の目に映る内向的感情タイプの人の印象はだいたい次の通りでしょう。
- 物静か
- 礼儀正しい
- 目立たない
- 控えめ
- 落ち着いている
- 相手に合わせる
ところがその一方、なぜか近寄りがたく、不可解な印象をこのタイプに感じることも確かです。
ユングは内向的感情タイプのことを次のように表現しています。
静かに流れる水は深い
その「深み」に興味を感じ、ちょっとお近づきになりたいと思って挨拶に行ったり、しゃべりかけたりしても、ツンとした感じで返事を返されてしまうのがこのタイプ。
先ほども似たようなことを述べましたが、こちらの好意をぴしゃりと拒絶されたように感じてしまうのです。
そこで、話しかけた方は「あれ、ご迷惑だったかな…」とバツが悪い思いをすることになる。
それで「冷淡な人だなあ」と感じてしまうわけです。
でも、内向的感情タイプを少し弁護しておきますが、このタイプの人たちは他人に何か要求したり、命じたり、上から目線でものを言うようなことはありません。
また他人に影響を与えようとか、他人の考えを変えてやろうとも思っていません。
そのかわりに「他の人たちも自分の内側にズカズカと入ってこないで欲しい」と思っているだけです。
別に意地悪でも何でもない。
そして、もし幸運にもこのタイプの人とすごく親しくなれたなら、案外、優しい人だということに気づくでしょう。
感情タイプなのに感情が見えにくい人
あえて言えば物静かな詩人、それも主観的な感情を表現する抒情詩人といったイメージです。
感情タイプなのに、パッと見た感じ、感情がどこにあるのかわからない・・・というタイプです。
このタイプは外向的な人、あるいは感情機能が未分化な人には理解しづらいでしょう。
ユング、あるいは彼の高弟であるマリー・ルイス・フォン・フランツが書いた本を読んでいると、両人ともこの内向的感情タイプをやけに高く評価しているような気がします。
特にフォン・フランツは「いくらなんでも高評価し過ぎじゃないの?」と思ってしまうくらい、このタイプをベタ褒めしています。
これは私の推測ですが、ひょっとすると当時のユング研究所にきわめて好感度の高い人物(おそらく女性)がいて、その人物が内向的感情タイプだったのではないでしょうか。
考えすぎて必要以上に他人を警戒してしまう
劣等機能は「外向的思考」
内向的感情タイプの劣等機能は外向的思考です。
それは無意識の中に抑圧されていて、未開発であり、十分には洗練されていません。
外向的思考が劣等機能ということは、たとえば社会秩序とか社会制度について深く考えるのが苦手だということです。
だから政治や経済関連のニュースを観てもピンと来なかったりします。
悪く表現すると、少し世間知らずのような部分があるわけです。
そのため、ただ単に偉い学者が言っていたというだけでその話を信じてしまったり、新聞に書かれているデタラメな記事を鵜呑みにしてしまうことがよくあります。
つまり自分の思考というフィルターを通さずに他人の考えを取り入れてしまう傾向があるのです。
優越機能である内向的感情ばかりを使い過ぎると、ますます外向的思考を無意識の中に抑圧していくことになります。
すると無意識の中でなされる外向的思考はどんどん否定的な色合いを帯びていきます。
そして、その否定的な思考を他人に投影するようになります。
つまり本当は自分自身が疑心暗鬼のうちに思っていることなのに、その思いを他人になすりつけてしまうのです。
「あの人は何か悪いことをたくらんでいるのではないか」
「私をダマす気だろう」
このように被害妄想的に他人を邪推したり、周囲の人のアラ探しをするようになります。
これはまさに前述の他人に対する防衛線が過剰反応を起こしている状態です。
内向的感情に補助機能がからんでくると・・・
補助機能は「感覚」または「直観」
外向的感情タイプの補助機能は「感覚」または「直観」です。
前のページでも述べたように、片方を補助機能として使っている人もいれば、両方を第1補助機能、第2補助機能として使っている人もいます。
《感覚を補助機能として使う場合》
平和な心と美的感性とが結びついたような人です。
座禅が好きな人だとか、仏像の木彫りが趣味だというような人はこのタイプかも知れません。
あくまでもイメージとして言えば、(女性なら)キリスト教の修道女、仏教の尼僧などがこのタイプでしょう。
《直観を補助機能として使う場合》
神秘的なことに興味のある人や抒情詩人のような雰囲気を持った人がイメージできます。
このタイプは何か表現力を持たないと、社会人として生計を立てるのが困難になりそうです。
ユング的なアドバイス
何かを判断する時、最終的に自分の優越機能である感情を頼りにするのがベストです。
「もっと賢い選択をしなければ」と思って外部の情報に飛びつくのは賛成できません。
このタイプはその情報の真偽を確認するスキルが不足しているため、とんでもない誤情報をつかまされる危険性があるからです。
結局、「自分がそれを好きになれるかどうか」で判断した方が「正解」の確立が高くなるでしょう。