ナマケモノ心理学コラム

思考タイプなのに感情的、感情タイプなのに冷静な人

 

前回の記事では「本音とタテマエ」という観点から思考タイプと感情タイプを比較してみました。

そこで今回はその続きとして、もう少し両タイプの比較をしてみたいと思います。

感覚タイプの人や直観タイプの人の場合、補助機能が思考と感情のどちらが強いかによって、それぞれの項目を参考にできます。

 

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思考タイプは意外に「感情的な人」に見える

 

一般的に思考タイプの人はあまり感情を表に出さないため、感情を上手にコントロールしていると思われがちです。

 

しかしこれには少々誤解があります。

 

ふだん思考タイプは思考機能を意識的に、優先的に使っているだけであって、使い慣れない感情機能は奥の方(無意識領域)にしまってあるだけです。

 

思考タイプは思考機能を感情の代わりに使ったりもするよ
「思考タイプは頭で恋愛する」と言われるのもその例

 

ところがこの感情が本人の意に反して表に飛び出して来る場合があります。

その時、やはり思考タイプはその自分の感情を上手に制御できず、その扱いに手を焼いてしまう・・・ということが起きがちです。

 

ふだん理性的に見える思考タイプが突然わめき散らしたり、泣き出したりするのもこういうパターンです。

いわゆる「頭はいいけど、キレやすい」とか、「冷静かと思ったら、案外、涙もろい」という、ちょっとアンバランスな人たちはこの理屈で説明できます。

 

思考タイプなのに「感情的な人だ」と誤解されるのは、彼らが自分の感情機能を扱い慣れていないからだよ

 

 

ところで感情面における思考タイプの特徴は対人関係によく出てきます。

たとえば人の印象を判断する場合、「好きか、嫌いか」の二者択一になってしまうのです。

 

つまり喜怒哀楽の選択肢が少なく、その感情表出も原始的というか、シンプルになってくるというわけです。

 

また、「感情を意図的に隠しておく」というスキルがないため、思ったことが正直に「顔に出る」のも思考タイプに多い現象です。

 

思考タイプというのは感情タイプから見ると「何を考えているか」はわかりづらい。

ところが案外、「どう感じているか」は手に取るようにわかりやすかったりします。

 

本人は自分の感情が相手に見透かされていることに気づいていないみたい

 

 

感情タイプが逆に「冷静な人」に見えることも

 

 

感情タイプの場合、思考タイプより話はもう少し複雑になります。

 

感情タイプとは言え、感情機能の洗練度が低い人はたくさんいます。

そういう人たちの場合、やはり自分の感情を上手にコントロールできません。

だから単に「感情的な人」に見えてしまうだけです。

 

こういうタイプをさっきの思考タイプと間違わないように!

 

ところが同じ感情タイプでも、その感情機能がきわめて高度に分化されている人たちがいます。

洗練度の高い感情タイプとでも言っておきましょうか。

 

こういうタイプの場合、感情を意識の力で上手にコントロールできます。

だからめったなことでは感情的になったりしません。

 

むしろその逆・・・
考え深げで、きわめて冷静な人に見える

 

 

ただしここでももう1点考えるべきことがあります。

内向的感情タイプの場合はもともと感情が内側に隠れています。

だから、どのみち感情はめったに表に出てこないのです。

だから冷静に見える

ユングが内向的感情タイプを「止まっている水は深い」と表現したのはこのためです。

でも、だからと言って内向的感情タイプの感情機能が洗練されているとは限りません。

 

実はここの判別がとても難しいのです。

つまり高度な感情機能を持っているから冷静な人に見えるのか、それとも単に内向的感情タイプだから冷静に見えるのか・・・。

これを判別するには深い分析が必要です。

 

内向的感情タイプは8タイプの中で最も謎めいたタイプだね

 

 

前述の思考タイプと同じように、感情面における感情タイプの特徴もまた対人関係によく現れます。

 

思考タイプは先ほども述べたように、相手のことが「好きか、嫌いか」の二者択一になりがちです。

 

ところが感情タイプの場合、「大好き」から「大嫌い」まで、感情の段階が無数にあるのです。

たとえば次のようなイメージです。

私はAさんのことはBさんほど嫌いじゃない。

CさんについてはAさんより少しましだけど、Bさんより嫌なヤツだ。

DさんはBさんよりちょっと悪くない程度かな・・・

 

さらにはこんな評価まで加わってきます。

Aさんはホント嫌なヤツだけど、思ったことを正直に言う点に関しては4人の中で一番いい

 

こういうふうに感情タイプの感情スケールのメモリが細かくできているのは、それだけ感情機能が高度に分化している証拠です。

 

感情機能が原始的で幼稚な思考タイプの場合だと

AもBもCもDも、コイツら全員嫌いだ

の一言で終わってしまうでしょう。

 

思考タイプの場合、論理的な話、例えばA理論はB理論よりどういう点がどれだけ信憑性がある・・・みたいな話は得意だよ

 

 

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気持ちを言葉にするのは感情タイプの方が上手

 

考えていることや思っていること、あるいは感じていることを「言葉にする」というのは、いわば「内面の意識化」です。

したがって自分の気持ち、今思っていること、感情などを言葉に変えるのは当然ながら感情タイプの得意とするところです。

 

ところが思考タイプの場合、感情面が無意識の沼に沈んでいるため、それを意識の力で拾い上げるのは大変です。

 

それは感情が劣等機能だからだったよね

 

しばしば思考タイプが「自分の素直な気持ち」をストレートに語ろうとして、四苦八苦してしまうのはそのためです。

気持ちをなんとか言語化しても、どことなくビジネスライクな言葉になってしまったり・・・。

 

 

逆に感情タイプは「感情の言語化」が得意だし、大好きです。

何がどういうふうに「好きか、嫌いか」を語る時の感情タイプの目は光り輝いています。

そういう時、彼らの精神は覚醒するんですね。

 

思考タイプは「何がどれだけ正しいか」を語る時に目が輝く

 

こういう性格タイプの違いを乗り越えるのは難しいことです。

 

もし、あなたが思考タイプの人だとすると、感情タイプの人から

そういうふうに、人を傷つけるような言い方をしなくてもいいでしょ!

と文句を言われ、落ち込んだ経験が一度くらいはあるかもしれませんね。

 

自分は単に正しいことを言っただけなんだけど

 

しかし、それはあなたの性格に欠陥があるからではありません。

すべてタイプの問題なのです。

それを知っておくだけでも気が軽くなるでしょう。

 

 

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