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記述式問題でツギハギ法が有効な心理学的理由

国語の記述式と心理学

 

「国語の記述式問題では本文中の言葉をツギハギして回答を作成する」

・・・国語の試験で大失敗しないための方法として、今では学生たちの間でもよく知られている受験テクニックのようです。

でも、このテクニックが初めて世に出た時は衝撃的でした。

今思うと、これは心理学理論の応用だったのですけれど。

 

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代ゼミ、有坂誠人先生の『例の方法』について

 

私は中学、高校を通して国語、特に現代国語が大の苦手でした。

本を読むのは大好きだったし、文章を書くのも自分では得意だと思っていました。

それなのに、なぜか現代国語のテストではなかなか点が取れませんでした。

 

特に苦手なのが記述式の問題。

毎回、テストで記述式があるたび、

「よし、オレの作文能力をみせてやるぞ」

とばかりに頑張って書くのですが、ろくに点数がもらえないという状態。

それも、なぜ、どこが減点の対象なのかがわからないという始末。

 

今にして思えば、国語のテストで点数が取れなかった原因は何となくわかります。

それはたぶん、文章を深読みするクセがあったからです。

だから記述式の時も設問で要求されている以上の事を書いてしまい、それがピント外れということで減点されまくっていたのでしょう。

 

でも、当時の私にはそれがまったくわからなかった・・・。

 

 

根本的に国語という科目がわからなかった私に解決のヒントを与えてくれたのは、一浪した時に学んだ予備校の授業でした。

 

一浪時代、私が通っていたのは代々木ゼミナールです。

当時は予備校文化花盛りの時代。

代ゼミにもスター級の先生たちが大勢いました。

 

その中でも私が特に大きな影響を受けた先生が2名います。

1人は世界史の山村良橘先生。

もう1人は現代国語の有坂誠人先生でした。

 

 

有坂先生といえば『例の方法』という国語解答法を発明した人です。

(オリジナルは別の人だという説もあるけれど)

 

この『例の方法』は後に書籍となって出版されたようですが、私が代ゼミに通っていた頃はまだその本は出版されていませんでした。

 

『例の方法』について簡単に説明すると、国語の本文はいっさい読まずに問題を解き始めるというやり方です。

選択問題も選択肢だけを見て、正解の選択肢を発見するというテクニックです。

(結局、この方法、私は習得できず、大学入試には使えませんでしたけど)

 

もう1つ、『例の方法』で斬新だったのは記述式問題の解答法です。

これは昨今の受験生にはもう珍しくも何ともなくなったかもしれませんが、いわゆる「ツギハギ解答作成法」です。

 

例えばこんな問題が出題されたとします。

「本文を読み、著者の主張を50字以内にまとめなさい」

「傍線aの言葉にこめられている主人公の気持ちを40字以内でまとめなさい」

 

こうした記述式問題が出た場合、有坂先生いわく、

「下手に自分の言葉でまとめようとしてはダメだ」

「本文からキーワードを抜きだし、それをツギハギ細工して文章にしなさい」

「ただし文章の流れが不自然にならないように気をつけること」

 

こうしたテクニックは今でこそどの受験生にもアタリマエ過ぎて、逆にこの方法に頼り切っていては点数が取れなくなっているそうですね。

 

でも、当時はこんなテクニックさえ、ちゃんと言葉にして教えてくれる人はいませんでした。

予備校の他の国語の先生もいっさい教えてくれなかった。

また、どの受験参考書にも書かれていませんでした。

 

これを予備校という場で初めて公然と教えたのが有坂先生だったのです。

 

当時でも国語の得意な生徒たちは自然にやってたんだけどね

 

 

国語の記述式では本文中の言葉をツギハギ細工せよ

 

有坂先生が「ツギハギ解答法」を教えてくれた時の説明を私は今でもはっきりと覚えています。

というのは、その授業を私は録音して、そのテープを授業後も繰り返し聴いたからです。

 

有坂先生の説明のポイントは

できるだけ本文に寄せて記述した方がピント外れの回答にならなくてすむ

というものでした。

 

ただ有坂先生はそれだけでなく、次のような説明もしたのです。

試験の採点者も人間だから、一定の心理状態を保ったまま何百人もの受験生の採点を続けることは不可能だ。

たとえば採点中、たまたま飛んできた虫をイラッとしながら追い払ったとしたら、その時の気分が採点にも反映されてしまう。

つまり、ちゃんと読めばしっかりとした内容が書かれているのにもかかわらず、「何だか意味不明なことが書かれているな・・・」と思って減点してしまう。

だから国語の記述式の問題を解く場合、あまり独創的な表現は使わず、できるだけ本文中の言葉をツギハギしながら文章を組み立てた方がよい。

そうすれば採点者も見慣れた言葉が並んでいるため、その受験生の回答をストレスなく読むことができる。

また、受験生にしてみれば、「問題文をちゃんと読んでいます」ということを採点者にアピールできる。

 

残念ながら、このツギハギ式の記述法も私は大学受験本番まで完全にはマスターできませんでした。

でも、この考え方はその後の人生のいろんな局面でとても役に立ってきました。

 

そして心理学を勉強するようになってから、あらためて気づいたことがあります。

それはこのツギハギ解答法というのが心理学でいうところの単純接触効果の応用でもある、ということです。

 

 

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国語記述のツギハギ法は単純接触効果の応用だった

 

単純接触効果というのは

ある物事に繰り返し接しているうち、しだいにその物事が好きになっていく現象

のことです。

 

人は日頃から見慣れているもの、聞き慣れているものの方が安心できるし、好感が持てるものです。

だから企業も自社の商品を売ろうとする場合、CMを何度も何度も流します。

 

選挙の時、候補者が自分の名前を繰り返し連呼するのも単純接触効果の実践です。

 

▼単純接触効果についてはこちらの記事でも触れています。

『影響力の武器』を読んでみた
写真に撮った自分の顔を「人相悪い」と感じる理由 本日、遅まきながら、 『影響力の武器』を読み終わりました。 こういう読み応えのある本には 久々に出会いました。...

 

 

国語の記述式問題でツギハギ細工方式が得点に有効なのも、そこに単純接触効果が働いているからです。

 

国語の記述式問題を採点する側は当然、その問題文にも目を通しているでしょうし、また採点の際は何度も何度も、模範解答を読み直すはずです。

そして一般的にそうした模範解答というものは本文中の言葉を上手につなぎ合わせて作成されているケースが多いものです。

 

もし、受験生がその模範解答通りの答えを書いていれば採点しやすいけれど、かりに本文中の言葉が一切入ってなくてもスジさえ通った回答であれば高得点は取れるでしょう。

しかし受験生にはそれは難しい。

加えて、さっきも述べたように採点者自身の心理状態もまた採点を左右してしまう場合があります。

 

だからこそ、採点者が見慣れている表現、つまり本文中や模範解答の中に何度も出てくる表現が回答の中にも使われていたなら、採点者はその回答に「好感を持つ」というわけです。

 

これは採点者を疲れさせない回答法ということで、まあ、顧客サービスならぬ「採点者サービス」にもなるのでしょうね。

 

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