雑記(未分類)

何も答えないと「同意した」と見なされる臓器提供

臓器のゆくえ

 

あなたは自分の死後、自分の臓器の提供に同意していますか?

「いやいや、まだ同意も拒否もしていないよ」

とおっしゃるあなた・・・

すでにあなたは「同意した」と見なされています。

もしかして、ご存じなかった?

 

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国によって臓器提供を同意する人の割合は極端に違う

 

まず最初に下のグラフをご覧いただきたいと思います。

国別 臓器提供の同意割合これは時々、心理学関係の本に登場するグラフなので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れません。

もし、ご存じないなら、これはいったい何を示したグラフだと思いますか?

 

ヒント・・・

これは「あることに同意している人の割合」です。

 

といっても雲をつかむような話ですから、さっさと答えを言いますね。

これは死後、自分の臓器を他人に提供することに同意している人の割合を示したものです。

 

 

これを見て、どう感じますか?

同じヨーロッパなのに、ずいぶん二極化されていると感じますよね。

 

これが例えばざっくりと南と北とか、東と西・・・と別れているなら地理的、気候的な要因が人の考え方に影響するのかな・・・などとも思うでしょう。

 

ところがこのグラフを見ると、ちょっと不思議です。

なぜ同じドイツ語を話すドイツとオーストリアがこんなに違うのか?

同意割合の低いドイツ、オランダと国境を接するベルギーはなぜ高いのか?

 

臓器提供というのは本人の意志を無視してまで強制的に行われるものではありません。

だから国によって、臓器提供の同意割合にこれだけ明確な違いがあるということは、何か理由があるはずです。

 

実はその理由、とても意外なことなのです。

 

 

「聞き方のマジック」で結果が大きく変わる

 

自分が死んだ後、自分の臓器を他人に提供するかを聞かれた際、デンマークやドイツなどの国民はかなり消極的です。

 

一方、オーストリアやフランスなどはほとんど9割以上、国によってはほぼ100%が同意しています。

「自分が死んだ後、自分の身体は自由に使ってください」

というわけです。

 

これは私たち日本人からしても、ちょっと信じられない感覚ですよね・・・。

もしかしたら臓器提供に同意すると、「一生涯、無税」とかなるのでしょうか・・・。

 

そんなバカな!!

 

そう思うくらいスゴい数字ですけど、実はこれにはちょっとした理由があるのです。

 

 

日本にも「臓器提供意思表示カード」というのがありますが、これに相当する手続きが海外にもあります。

ここで注目したいのは、その手続きにおける「意思表示の仕方」に違いがあるという点です。

 

 

いずれの国でも

「あなたは臓器提供に同意しますか? 同意しませんか?」

と問われます。

 

その際、デンマークやドイツなど、臓器提供の同意割合が低い国々では、同意する場合にのみ、

□ 同意する

チェックを入れることになっています。

 

だから、ここにチェックを入れる人というのは、臓器提供というものによっぽど賛意を示す人だと言えます。

 

 

一方、オーストリアやフランスなど、臓器提供の同意割合が高い国々では、同意しない場合にのみ、

□ 同意しない

チェックを入れることになっています。

 

つまりこれらの国ではチェックを入れ忘れていると、自動的に

「臓器提供に同意している」

と見なされるわけです。

 

言い方はちょっと悪いですが、これはとても頭のいい方法です。

なぜなら人間というのはけっこう面倒くさがりなので、説明をちゃんと読んでチェックを入れる人なんてごくわずかだとわかっているからです。

 

その人間の怠惰な性分につけこんで、より多くの臓器提供者を集めようという作戦です。

 

 

・・・とまあ、さっきから悪口っぽく書いていますが、この臓器提供によって助かる命も出てくるわけですから、結果オーライという考え方もできます。

 

 

では、ここからが本題なのですが、わが国では臓器提供の意思表示はどうなっているのでしょうか?

 

 

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日本の場合、ヨーロッパ諸国よりさらに巧妙

 

日本では臓器提供意思表示カードについてはパソコンでもダウンロードできますが、免許証や保険証の裏面にも同様のものが印刷されています。

 

ご存知でしたか?

 

何か書いてあるな~とは思いつつ、よく読んだことのない人も多いでしょう。

 

そこで今回、あらためてよく読み直してみましょう。

 

 

以下の欄に記入することにより、臓器提供に関する意思を表示することができます。

記入する場合は、1から3までのいずれかの番号を〇で囲んでください。

1.私は、脳死後及び心臓が停止した死後のいずれでも、移植のために臓器を提供します。

2.私は、心臓が停止した死後に限り、移植のために臓器を提供します。

3.私は、臓器を提供しません。

《1または2を選んだ方で、提供したくない臓器があれば、✕を付けてください。》

【心臓・肺・肝臓・じん臓・すい臓・小腸・眼球】

 

この後に署名欄と書名年月日を記載する欄があります。

 

 

この日本の書式を初めて読んで

「いかにも日本らしく、きちんと選択肢が用意されているな」

と感服した人もいらっしゃるでしょう。

 

なぜならご丁寧に「臓器を提供しません」という選択肢まであるからです。

 

さすが、日本・・・

 

でも、ここでちょっと気になることがあります。

 

もし、1、2、3いずれの番号にも〇を付けずに交通事故か何かで死んでしまった場合、当局の人たちはどう判断するのでしょうか?

 

どう思いますか?

 

意思表示なし・・・であれば、臓器提供拒否と見なされるのでしょうか?

 

実を言うと、もし3つの番号のいずれにも〇を付けていない場合、

「自分は臓器提供を拒否してはいない」

と見なされます。

 

もう少し詳しく言えば、もし家族の同意があれば、自分の臓器は提供されることになります。

つまり、間接的ではあるけれど、自分は臓器提供に同意していると見なされるわけです。

 

 

「説明しない方が通りやすい」という常套手段

 

生前、自分自身で臓器提供の意思表示をしていなかった場合、家族の同意があれば臓器提供はOKとされる。

 

これは『臓器の移植に関する法律』が2009年に改正された時のまさにキモなのですが、意外にこれを知っている人は少ないような気がします。

 

ある意味、「自分でチェックを入れない」ことが遠回しではあるものの「臓器提供の意思あり」と見なされるわけですから、最初の述べたオーストリアやフランスと同じパターンです。

 

 

しかしそれらの国と明らかに違うのは、「チェックを入れない」がすなわち「同意する」と同じだということが明記されていない点です。

 

いや、実際には法律の条文には明記されているのですが、そうであれば、一言でもいいので選択肢の欄外にでも記載しておいてくれればいいのに・・・。

 

それをあえて記載しなかったことにより、日本人はいきなり臓器移植にとても理解のある国民になってしまった・・・というわけです。

 

ちゃんと法律に書いてあるじゃないか!

そう言われればそうなんですが・・・。

 

でも、やはり不親切です。

当局に不利になることは書かないでおく、ということでしょうか。

 

これは「説明しない方が通りやすい」という、官のいつものやり方です。

これでは「わざと狙ってやっている」と解釈されても仕方ありません。

 

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