映画で学ぶ心理学

『幸せのちから』に学ぶ「現実の壁」の乗り越え方

 

『幸せのちから』の原題はThe Pursuit of Happyness

「幸せの追求」という意味です。

これはまさに理想主義者のキャッチフレーズ。

性格タイプで言えば直観タイプを暗示しています。

でも理想主義者であるがゆえに現実社会では苦労が絶えない・・・。

そういうタイプの人間が人生や社会とどう向かい合っていくかを描いた映画です。

 

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ただのアメリカン・ドリームものではない

 

『幸せのちから』は2006年のアメリカ映画です。

ウィル・スミスと彼の息子ジェイデンが共演したことでも有名ですね。

 

この映画を酷評する人はあまりいない気がします。

中には「ただのアメリカン・ドリームものでしょ?」と冷めた言い方をする人もいます。

しかし映画の中で描かれているのはドリーム以前の部分です。

 

私自身はウィル・スミス演じるクリス・ガードナーには感情移入してしまう部分がありますね。

観ていて何だか身につまされるような思いをしました。

2006年 アメリカ
原題The Pursuit of Happyness
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
脚本: スティーヴン・コンラッド
出演: ウィル・スミス、ジェイデン・スミス、タンディ・ニュートン

 

 

夢はあっても失敗続きの男をウィル・スミスが好演

 

では、ネタバレしない範囲で簡単にストーリーを紹介します。

舞台は1980年代のサンフランシスコ。

主人公のクリス・ガードナーは骨密度測定器なるアヤシイ医療器具のセールスマンです。

 

月に2台売れればどうにか生きていけるという高価な機械ですが、これがなかなか売れない。

しかもその機械は最初に全財産をはたいて代理店から何十台も買い取ったものだったため、貯金はゼロ。

売れなければ生きていけない・・・という状況でした。

 

やること、なすこと、すべて裏目に出てしまう。

ついに奥さんも家を出て行ってしまいました。

 

 

そんなある日、クリスは赤いフェラーリを乗り回していた男性に出会いました。

そして彼が株の仲買人をやっていること、また「数字と人間にさえ強ければ、その仕事をするのに学歴は不要」という話を聞かされたのです。

 

大学には行っていないものの、高校時代、数学は得意中の得意だったクリス。

彼はさっそく証券会社が主催する6か月間の新人養成コースに応募します(ただし無給)。

 

この養成コースは20人の研修者のうちトップの成績を残した1人だけが正社員に採用されるという過酷な新人研修でした。

 

クリスは昼は証券会社で研修、夕方からは骨密度測定器のセールスマンという二重生活を始めます。

ところがまったく無収入。

ついに家賃を滞納していたアパートを追い出されてしまいます。

 

どうにか骨密度測定器は全部売り、銀行口座の残高も増えました。

ところが知らないうちに滞納分の税金を政府に引き落とされてしまい、銀行口座はほぼカラッポに。

ついに息子とともにホームレスになってしまいました。

 

 

この映画で主人公のクリスはヘマばかりしまくります。

その上、研修では監督官の上司からパワハラまで受けてしまい、思うように営業成績が伸ばせない。

見ているこちら側が「要領の悪いやつだな」とイライラしてくるくらいです。

 

ところがこのクリス、どういうわけか「幸せ」のあり方にはすごくこだわっています。

息子を預けている託児所の窓に「HAPPYNESS(ハピネス)」と書かれているのをみて、「正しい綴りは”HAPPINESS”だ、いつになったら直すんだ!」とスタッフに噛みつきます。

 

夢がある、愛情もある、そこそこ真面目、だけど何だかトンチンカン。

そしてやる気だけが空回りしている・・・。

そんな人柄のクリス・ガードナーをウィル・スミスはみごとに演じています。

 

 

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理想主義者が現実世界を克服していく姿

 

映画の主人公のキャラはたいがい複数の人格を組み合わせて設定されています。

だからこそ映画の前半でさえない人物だったのが、後半でいきなりキレ者の大成功者になったりします。

 

観客の方も「まあ、映画の中のことだから・・・」と考え、パーソナリティーの不連続性を特に気にしたりはしません。

 

ところがこの『幸せのちから』では割と主人公のキャラ設定に統一感があって、心理学的にも納得できる部分がたくさんあります。

その理由はこのクリス・ガードナーが実在の人物で、その人をモデルにした映画だからなのでしょう。

(ただし映画のストーリー自体はだいぶん脚色されていると思いますが)

 

 

では、この映画の中のクリス・ガードナーはどういう性格タイプだと考えればいいでしょうか?

これは私の見立てですが、「外向的直観タイプで補助機能が感情」というのが比較的近いと思います。

 

一般的に内向的直観タイプは空想の世界で理想を描く傾向があります。

これに対して外向的直観タイプは現実世界の中に理想を求めようとします。

 

それはこの映画のThe Pursuit of Happyness(幸せの追求)という原題に表現されている通りです。

(※ただしHappynessの正しい綴りはHappiness

 

その理想がうまい具合に時流に乗れば大成功します。

ところが内向的感覚が劣等機能のため、実生活を着実に踏み固めていくリアリズムが希薄になりがちなのです。

『幸せのちから』ではこのタイプのそうした性格がよく描かれていると思います。

 

 

ところでこのクリスのように外向的直観タイプで補助機能が「感情」の場合は気高い理想に燃えて人助けに精を出したりすることがよくあります。

実際、この映画のモデルとなったクリス・ガードナー氏は現在、慈善活動家としても知られています。

そしてホームレスの頃に世話になった教会に多額の寄付をしているそうです。

 

 

私は最初に「ウィル・スミス演じるクリス・ガードナーには少し感情移入してしまう」と述べました。

それは私自身が直観タイプであるため、このタイプが抱える問題点に共感できるからです。

それもあってか、最後の場面を見て、私は思わずクリスに拍手を送ってしまいました。

 

 

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