映画にはいろんな性格タイプの人間が描かれています。
そこで今回は私が最近観た映画『ちいさな独裁者』について、心理学的な観点から私見を述べたいと思います。
(ストーリーに関してはネタバレなしです)
あなた自身がサイコパスの犠牲者にならないために
ずいぶん前から観よう観ようと思っていて先延ばしにしていた映画をやっと観ました。
『ちいさな独裁者』。
これは2017年に作られた、ドイツ、フランス、ポーランド合作の映画です。

原題:Hauptmann
監督・脚本:ロベルト・シュヴェンケ
主演:マックス・フーバッヒャー
それで今回、この映画について書いてみたいと思いました。
なぜなら私は以前、この『ナマケモノ心理学』でサイコパスを取り上げたことがあるのですが、この映画の主人公はまさにそのサイコパスを地で行くキャラクターだからです。

上の記事の中でも書いたのですが、サイコパスというのは
生まれながらにして良心が欠落している人
のことを言います。
サイコパスは感情というものが希薄です。
中でも特徴的なのが「恐怖心が欠落している」ということです。
人間、恐怖心がなければ何でもできます。
だって死刑になることさえ恐くないのですから。
だからサイコパスの中には平気で犯罪を犯す者もいます。
そう考えるとサイコパスなんてめったにいない・・・と思えそうですが、実は全人類の1%~数%はサイコパスだと言われています。
ただし、それにもいろんなレベルがあって、真面目に法を守って生活しているサイコパスもいます。
だから気づかないだけです。
でも、よく注意してみると、ひんやりしたものを感じます。
あなた自身がサイコパスの犠牲者にならないようにするには、その特徴を知っておく必要があるでしょう。
そういう意味でこの映画は「一見の価値あり」と思いました。
ただの兵士が大尉に成りすまして殺戮の限りを尽くす
さて、前書きが長くなりましたが、この『ちいさな独裁者』という映画は実際にあった事件を再現した映画です。
舞台は第二次世界大戦末期のドイツ。
当時、すでにほぼ敗戦濃厚となり、苦しい戦いを強いられていたドイツ軍では脱走兵が続出していました。
そうした脱走兵の中の1人がこの映画の主人公、ヴィリー・ヘロルトです。
(このヘロルトは過去に実在した人物です)
軍を脱走したヘロルトはドイツ軍の憲兵隊から命からがら逃げのびます。
寒さに震え、飢えに苦しみながら森を歩いていたところ、偶然、ぬかるみにはまったまま放置されているドイツ軍の車両を発見します。
中をのぞくと座席には食料、さらには勲章がたくさん付いた大尉の軍服などが置き去りにされています。
凍えていたへロルトはとりあえず大尉の軍服をはおり、そして食料にありつきます。
そこにやってきたのが「軍からはぐれてしまった」と言うフライターク上等兵。
彼はヘロルトが着ている軍服からヘロルトが大尉であると信じこみ、
「大尉殿のお供させてください」
と申し出る。
その時、ヘロルトはたまたま手に入れた大尉の軍服がどれほどのお宝なのかをやっと実感することになります。
この後、ヘロルトは出会った他の脱走兵たちも指揮下に入れ、やがて「ヒトラーから直接指令を受けている特殊部隊」の体裁を取るようになっていきます。
やがてドイツ軍脱走兵の収容所の権力を握り、本来、味方であるはずのドイツ兵たちを大量虐殺していきます。
そればかりか気に喰わない部下も処刑してしまいます。
最後のシーンが「いかにもサイコパス」らしい
この映画をみるメリットは先に述べた通り「サイコパスの人物像が理解できる」ということです。
それがわかれば、自分の周りにいるサイコパスを発見するのも容易になります。
私も今までの人生で数多くのサイコパスに出会ってきました。
私はもともと性善説(「人間は基本的に皆、善人である」という考え方)で生きてきました。
しかし多くのサイコパスに気づくようになると、やはり性善説だけで生きていくのは難しい・・・ということに気づきました。
さて、『ちいさな独裁者』の詳しいストーリーについてはネタバレになるとマズいので書かないでおきます。
ただ1つ、お伝えしておきたいことがあります。
もしご覧になるのであれば、最後のシーンをよく注意してご覧になってください。
最後、ヴィリー・ヘロルトは身分詐称がバレて裁きを受けることになります。
その時のヘロルトの反応をよく観察していただきたいのです。
これもまさにサイコパスならではの反応なんですね。
これ以上は詳しく書きませんが、私の次の記事を読んでいただければヒントが書かれています。

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